2014 Fiscal Year Research-status Report
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26420866
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
宇埜 正美 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 教授 (00232885)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SiC / 事故耐性被覆管 / CsI / 腐食反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
SiC/SiC被覆管の軽水炉利用の可能性検討のために、SiC/SiC複合材と腐食性核分裂生成物との反応試験を行った。 SiC/SiC複合材をSEM、EDSで観察した結果、SiC/SiC複合材はマトリックス、繊維表面が露出している部分、繊維をマトリックスが密に詰まっている部分、繊維をマトリックスが詰まっていない疎な部分で構成されていた。また、マトリックスには液相焼結で作製された時に添加されたと思われる酸化物系助剤であるAl_2 O_3が存在していて、繊維の周りに炭素の膜である界面相が存在していた。 SiC/SiC複合材に対する熱処理の影響としては、大気雰囲気で熱処理した場合Ar雰囲気で熱処理した場合と異なり、界面相を構成している炭素が減少していた。 次に、CsIと共に熱処理した場合、SiC/SiC複合材のみで熱処理した時と比べて、Ar雰囲気で熱処理した場合は違いが見受けられなかったが、大気雰囲気で熱処理した場合においてはSiC/SiC複合材のみで熱処理した場合以上に界面相を構成する炭素が減少しており、ほとんど無くなっていることを確認した。また、CsIは界面相の炭素が減少して生じた隙間に入り込んでいるのではなく、マトリックスの間特に繊維間に存在するマトリックスに多く存在していることが確認できた。これらの結果より、界面相が減少することによって界面相の機能である亀裂を補足、偏向、分岐させる機能が失われ、結果として擬延性的破壊挙動が生じなくなり、設計時に想定していた強度が担保できない可能性がある。また、CsIがSiCマトリックス間に入り込んでいることにより、SiCとCsIが反応してSiCがアモルファス化する可能性があることが分かった。 今後は3点曲げ試験等の強度測定やCsI以外の腐食性核分裂生成物との反応観察を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は予定どおりSiCとCsIとの反応挙動を調べた。様々な条件で実験的にも、熱力学的にも明確な反応の証拠はみられなかったが、明らかなSiC繊維の周りの炭素中間層の劣化がみられ、SiC/SiC板材としての脆化は観察された。この脆化にともなうある程度定量的な健全性評価が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では、CsIの次は腐食性FPをTeるいはCdと変えて実験する予定であったが、熱力学的にはこれらとも反応しないことがわかった。一方で、実験的にかなり高温、空気中でいくつかの酸化物と反応することがわかった。今後は、燃料(UO2)やFP酸化物との反応挙動をしらべ、初年度のCsIとの反応とあわせて健全性を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
ガスおよび試薬の単価に変動があったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も様々な試薬およびガスを用いて主に燃料およびFP酸化物とSiC/SiCとの反応試験を行う予定である。
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