2014 Fiscal Year Research-status Report
好熱性発酵細菌-メタン菌栄養共生系による高速メタン生産の基本原理
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26420881
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
桑原 朋彦 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (80153435)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 軽石 / 空気気相 / 陰圧化 / 二酸化炭素除去 / 発酵細菌 / メタン菌 / 栄養共生 / 固相培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
固相担体の性能評価; 68ml容のセラム瓶に培地28mlと乾燥重量5gの固相担体(軽石、多孔質ガラス、あるいはヘマタイト)を加え、窒素気相下、68℃で24h前培養した。液相を新しい培地に変え、嫌気化せずにかつ空気下(密封)で、24h本培養を行った。いずれの担体を用いた場合にも本培養は可能だったが、メタン生産量の多さから軽石を固相担体として採用した。FE-SEMにより、どの担体でも菌間のブリッジ形成を伴ったコンソーシアムが、担体内部においても、観察された。 固相培養系の確立・計画① 気相の最適化;(1)空気気相の効果;前培養を(5g 軽石、28ml培地、窒素気相、68℃、24h)で行い、本培養を窒素あるいは空気気相下で行って比較した。48h本培養では空気気相のほうがメタン蓄積量が多かった。しかし、メタン生産量/時間を考慮し、培養時間を24時間とした。(2)圧力の効果;本培養時、注射針付きシリンジを用いて予め40ml分の気相を除くと、24時間後の気相中メタンは58%に達した。陰圧化がメタン濃度上昇をもたらすことがわかった。(3)二酸化炭素吸収の効果;本培養時、小試験管に水酸化ナトリウムを入れて培養器内に置きCO2を吸収すると(空気気相下、陰圧化処理無し)、24時間後にメタン濃度は53%まで上昇した。CO2除去により蓄積メタン濃度が上昇することがわかった。また、培養後の気相は、精製や濃縮処理無しで、点火により燃焼可能であった。培地を24時間ごとに入れ替えることにより、初期空気気相条件で50%以上のメタン生産を少なくとも7日間連続で行うことが可能だった。 当初の目標であった、容器の半分の気相を、毎日50%メタンで満たす培養系は、軽石を用いた固相培養、空気気相、陰圧化、CO2除去により達成された。今後は、気相を増加させることができるかを試みるとともに各ステップの操作性を向上させる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固相培養系の確立・計画② 液相:固相比の最適化および③ 気相:(液相+固相)比の最適化;②に関しては、まだ結論を得ていない。しかし、軽石1粒(約0.3g)でも、本培養において培養器体積の半分の空気気相を嫌気できることがわかった。今後、メタン生産量を指標に②の最適比を決定する。次に、その比を用いて③の最適比を決定して、最適なメタン生産を達成する。研究の本質的な部分は完了していることから、おおむね順調と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
毎日培養液を交換するのは、廃液処理のコストが必要になる。そこで、当初の研究計画にはなかったことであるが、培養液中の老廃物をカラムに吸着させて除き、フロースルー画分に栄養となる有機物を加えて培養に再利用することを目指す。さらに定量RT-PCRにより、固相担体に吸着した菌体量を評価することにより、担体として軽石を用いることの正当性を確認したい。
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Causes of Carryover |
当初の計算より、主に電子顕微鏡関連の試薬・ガラス器具の購入に費用が掛からなかったこと、特許申請の可能性があることから(時間に縛られないために)学会発表を控えたことなどから次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
電子顕微鏡観察・ガスクロマトグラフィーのための消耗品および成果発表のための旅費に使用する。
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