2015 Fiscal Year Research-status Report
がん糖鎖によるがん微小環境への適応応答の分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
26430118
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大坪 和明 熊本大学, 生命科学研究部, 教授 (30525457)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | がん微小環境 / がん糖鎖 / 糖転移酵素 / 抗アポトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、申請者らは腫瘍内低酸素環境が、糖転移酵素ST6GalNAc-Iの発現を誘導し、がん関連糖鎖であるシアリルTn (sTn)抗原の発現を上昇させる事を発見した。さらにsTn抗原ががん細胞の接着・浸潤を亢進させる事により、転移を促進する機能分子である事を明らかにしてきた。本提案研究課題ではsTn抗原を介した細胞増殖抑制、酸化ストレス耐性、アポトーシス回避に着目しsTn抗原によるがん微小環境への適応によるがん転移促進の分子機構の解明を目的とする。 申請者らはST6GalNAc-Iの導入によりsTn抗原を発現する細胞では、インテグリンシグナルを介した抗酸化酵素Hemeoxygenase (HO-1)の発現誘導により、酸化ストレス耐性を獲得する事を発見した。 さらに、sTn抗原発現細胞が液性分子を分泌し、周辺がん細胞の性状制御を行っている事を示唆する結果を得ている。これらは低酸素曝露に応じてがん細胞が周辺細胞の環境調節を行っている事を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の成果に基づき、sTn抗原発現によるHO-1誘導の分子メカニズムの同定に成功した。sTn抗原がα2β1インテグリン上に発現する事で、コラーゲンとの相互作用が亢進し、Aktの活性化、Nrf2の核移行の亢進、HO-1遺伝子の発現誘導、抗酸化能獲得の一連のメカニズムの立証に成功した。 その他、sTn抗原発現によるHIF-1誘導のバイパス経路の存在を示すデータを得ており、現在、より詳細なメカニズムの解明に向けた研究を推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
sTn抗原発現によるHO-1誘導、抗酸化能獲得メカニズムに関する論文発表を目指す。それに関する追加実験を立案、実施する。 一方、sTn抗原発現細胞の液性因子による細胞微小環境制御メカニズムの解明を目指して、因子の同定及びその意義の解明を進める。これまでの予備的実験からすでに、周辺細胞の増殖抑制及び細胞運動能の低下が惹起され、それに関連するシグナル伝達系が変化する事を見出している。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Loss of α1,6-fucosyltransferase inhibits chemical-induced hepatocellular carcinoma and tumorigenesis by down-regulating several cell signaling pathways2105
Author(s)
Yuqin Wang, Tomohiko Fukuda, Tomoya Isaji, Jishun Lu, Sanghun Im, Qinglei Hang, Wei Gu, Sicong Hou, Kazuaki Ohtsubo, Jianguo Gu
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Journal Title
The FASEB Journal
Volume: 29
Pages: 3217-3227
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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