2016 Fiscal Year Research-status Report
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26440104
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
村上 浩士 中央大学, 理工学部, 教授 (80262020)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 減数分裂 / 酵母 / 体細胞分裂 / 遺伝子発現 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
減数分裂は配偶子形成と生物の遺伝的多様性を生み出す重要なイベントであるが、その制御機構に関しては不明な点が多い。本研究では、体細胞分裂から減数分裂への移行、および減数分裂に特有の諸現象を協調的に進行させる制御機構の解明を目指す。(1)特に性分化と減数分裂の開始機構、(2)DNA複製と遺伝子組換えの開始機構、(3)DNA複製と第一減数分裂開始の制御機構、を分裂酵母をモデルに研究することにより、性分化の開始から第一減数分裂までの減数分裂の制御機構を明らかにする。 (1)性分化と減数分裂の開始の制御機構に関しては、Fkh2タンパク質に新たな変異(Cds1によるリン酸化部位の変異)を導入した株を作成し、その表現型を解析中であるが、野生株とは大きな差が見られなかった。fkh2単独の破壊株では、減数分裂により早く侵入した。また、新たに減数分裂特異的遺伝子が体細胞で発現する温度感受性変異株を2種類単離した。そのうちの一つに関しては、原因遺伝子を特定し、スプライシングに必要な因子であることが明らかになった。また、原因遺伝子が特定できた変異株のマルチコピーサプレッサートしてRNAの輸送に関わる遺伝子を単離した。また、減数分裂への同調的な誘導方法を開発している。(2)DNA複製と遺伝子組換え開始の制御に関しては、Mei4タンパク質に様々な変異(Cds1によるリン酸化部位の変異)を導入し、解析中である。さらに、Mei4が制御している遺伝子もスクリーニングしている。(3)DNA複製と第一減数分裂開始の制御機構に関しては、Rep1がDNA複製を正に制御し、第一減数分裂を負に制御していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)減数分裂の開始の制御機構に関しては、新たに減数分裂特異的遺伝子が体細胞で発現する変異株を2種類単離した。そのうちの一つに関しては、原因遺伝子を特定し、スプライシング因子であることが明らかになった。また、このときマルチコピーサプレッサーとしてRNAの輸送に関わる遺伝子を単離した。さらに、スプライシング因子により減数分裂特異的遺伝子の発現が制御されている機構について解析中である。(2)DNA複製と遺伝子組換え開始の制御に関しては、Mei4タンパク質に様々な変異を導入し、解析中である。予備的な結果ではあるが、リン酸化により制御されていることが示唆されている。ただし、細胞周期の問題があり、遺伝子組換えに特異的現象かを検討中である。(3)DNA複製と第一減数分裂開始の制御機構に関しては、新たにRep1に新たな機能が見つかった。減数分裂前DNA複製に必要なだけでなく、第一減数分裂を抑制していることが明らかになった。 当該年度に新たな変異株の単離に成功し、原因遺伝子の特定など、当初の目標としていたことが実現でき、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)性分化と減数分裂の開始機構に関しては、新たに減数分裂特異的遺伝子が体細胞で発現する変異株を2種類単離した。そのうちの一つに関しては、スプライシング因子だあることが判明した。また、このときマルチコピーサプレッサーとしてRNAの輸送に関わる遺伝子を単離した。この遺伝子のコードするタンパク質を解析し、既知の因子との遺伝学的および生化学関係の解明を目指す。具体的にはタグ付けに成功し、生化学な解析をする。(2)DNA複製と遺伝子組換えの開始機構、Mei4タンパク質に様々な変異を導入し、解析中である。リン酸化により制御されている可能性が示唆されたので、リン酸化部位の同定を試みる。また、Mei4が調節しているターゲット遺伝子の同定を目指す。(3)DNA複製と第一減数分裂開始の制御機構に関しては、Rep1と既知の減数分裂に必要な遺伝子との相互作用を調べる。
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Causes of Carryover |
転写因子Mei4がリン酸化により制御されているデータが得られたが、分子レベルでの検討が必要であり、学術雑誌に投稿するにはまだデータが不十分なため、さらに実験が必要なため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に消耗品に使用する予定です。
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