2015 Fiscal Year Research-status Report
RNAバクテリオファージQβの高温適応実験進化における適応機構の解明
Project/Area Number |
26440194
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柏木 明子 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (40362652)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | RNAバクテリオファージQβ / 実験進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に作製した高温適応変異体Qβの生活環を詳細に解析し、その生活環のどの段階がどのように変化したのかを定量評価することにより明らかにすることを目的とし、生活環の最初のステップである吸着速度定数の測定を行った。また、Qβの感染後子孫ファージを放出するまでの潜伏期でのQβファージ由来タンパク質の感染菌あたりの合成量を定量するため、抗原抗体反応を用いた定量法を確立した。 宿主への変異体Qβの吸着速度は、感染後の遊離ファージの減少速度から求めた。吸着速度は、高温適応進化実験開始時の37℃と43.6℃とで求めた。高温適応進化実験開始時の野生型Qβの43.6℃での吸着速度は37.2℃のそれよりも約10倍小さかった。一方、高温適応変異体Qβの37.2℃と43.6℃での吸着速度は、野生型Qβと同じがそれよりも大きい値であった。これらの結果より、高温適応変異体Qβが高温条件下で増殖可能となった1つの要因は、感染サイクルとの第一ステップである宿主への吸着のステップが改善されたことが示された。 次に、Qβ感染後に子孫ファージを放出するまでの潜伏期においてQβ由来のタンパク質の合成量を定量するために、Qβ由来のβサブユニットとcoatタンパク質に対するcDNAを高発現ベクターに導入した大腸菌から精製した。段階希釈したそれらの精製タンパク質に対し、精製したタンパク質を用いて作製されたポリクローナル抗体で抗原抗体反応をすることにより、両タンパク質を定量する方法を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の申請書に記載した通り、初年度に取得した高温適応変異体Qβの生活環を定量評価した。 また、申請書に記載した通り、次年度に高温適応変異体Qβの感染後子孫放出までの潜伏期におけるタンパク質合成量を定量する方法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に取得した高温適応変異体Qβの感染後子孫ファージを放出するまでの時間(Latent period)と感染菌あたりの放出数を定量評価する。野生型のQβ、3種類の高温適応変異体Qβとの結果を比較し、どのような形質が高温適応にとって重要であるのか、また、高温適応へ到る経路は複数あり得るのか等を考察する予定である。
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