2016 Fiscal Year Annual Research Report
Thermal adaptation mechanism of RNA bacteriophage Qb
Project/Area Number |
26440194
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
柏木 明子 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (40362652)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | RNAバクテリオファージQβ / 高温適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は前年度までに得た高温環境下で増幅可能となった3種類の高温適応変異体と3系列に共通した変異を持つ変異体(8mut)及び適応進化実験開始時のAncを用いて、吸着速度定数の測定、ファージ感染から子孫ファージが放出されるまでの時間(潜伏期)の測定、及び感染菌あたりの子孫ファージの放出数の測定を行った。また、それらの結果とそれぞれの変異体が有するアミノ酸置換と表現型の変化の関係性を考察した。 Ancの37.2℃と43.6℃の吸着速度定数を比較すると43.6℃では約23倍小さくなっていた。一方、43.6℃での8mut、13mut、17mut、18mutの吸着速度はAncのそれよりも約2~3倍大きくなっていた。Qβは自身が持つA2タンパク質で大腸菌のF繊毛に吸着する。また、Ancと8mutとのA2タンパク質でのアミノ酸の違いはAsp342Glyだけであることから、この1アミノ酸置換が高温環境での吸着速度上昇に寄与したと考えられる。また、潜伏期と子孫ファージ放出数を求めた結果、Ancに比べて8mut, 13mut, 17mut, 18mutでは潜伏期が短くなり、放出数が大きくなっていた。これらのことから、共通した8箇所の変異は潜伏期の短縮と放出数の増加に寄与していることが明らかとなったが、各系列での変異は更なる両パラメーターの改善に貢献したことが明らかとなった。また、8mutとAncを比較するとA2とQβ複製酵素を構成するファージ由来のβサブユニットが1アミノ酸異なっていた。そのため、8mutでAncより潜伏期が短くなったことと放出数が増加したことは、βサブユニット上の変異Val142Alaによるものであることが示唆された。
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