2014 Fiscal Year Research-status Report
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26440204
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (50332482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 秀紀 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30249908)
山田 一孝 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (80292093)
近藤 大輔 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (90708364)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ペンギン / 羽根 / 走査型電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、水生適応した鳥類の中でキングペンギン、フェアリーペンギン、ケープペンギンの計3種のペンギンの羽根の解析を、肉眼および走査型電子顕微鏡(SEM)によって行った。各種とも正羽、準綿羽、綿羽、糸状羽が確認され、無羽区は存在しなかった。正羽は頭部、体幹、フリッパーに存在していた。準綿羽は各種とも尾腺部分でのみ観察された。綿羽は頭部、体幹、フリッパーの上腕部で観察された。糸状羽は頭部と体幹、そしてキングペンギンではフリッパーにも観察された。それぞれの羽根は、基本的に羽軸、羽軸根、羽弁そして後羽から成り立っていた。綿羽は隙間なく敷き詰められており、羽枝からは捻じれて走行する綿羽状小羽枝が認められ、綿羽状小羽枝からは線毛と呼ばれる1対の突起が観察された。準綿羽は明瞭な羽軸を持つが、その小羽枝の構造は綿羽と同様で、これらが集合することで筆先状になっていた。糸状羽は、長い羽軸を持ち、羽枝や小羽枝が確認され、小羽枝の先端には小さな突起が観察された。正羽において、正羽弁には正羽部、綿毛部、開放正羽部の3つの領域が確認された。正羽部では鉤状構造を持ち、弓状を示す近位小羽枝と鉤状を示す遠位小羽枝が確認され、これらが連結することで鉤状構造を形成していた。綿毛部は綿羽状小羽枝を持ち、その構造は綿羽と同様であった。開放正羽部では単純小羽枝が確認された。体幹の正羽では非常に綿毛部が大きく後羽も大きいことが確認できた。フリッパーでは扁平な羽軸をもった正羽が密に分布し、鱗状に配列していた。後羽はフリッパー上腕部でのみ観察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度では、キングペンギン、フェアリーペンギン、そしてケープペンギンといった3種のペンギンの羽根の電子顕微鏡学的解析をおこなうことができた。しかし、体の各部位の羽根の詳細な解析をおこなったため、時間的にマカロニペンギン、イワトビペンギン、マゼランペンギン、フンボルトペンギンといった他のペンギンやウトウの羽根の解析まではおこなうことができなかった。同様にCT三次元立体画像解析による四肢の機能形態学的解析も進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、羽根の走査型電子顕微鏡観察においては、平成26年度に観察できなかったマカロニペンギン、イワトビペンギン、マゼランペンギン、フンボルトペンギンの解析をおこなっていく予定でいる。観察部位、標本作製等の手技を習得できたことから、残りのペンギンの羽根の解析には時間を要さないと考えている。同時にCT三次元立体画像解析による四肢の機能形態学的解析を進めていく予定でいる。また、ペンギンの羽根の超微細構造学的解析に関しては、観察の終了したものから随時論文発表していく予定でいる。
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Causes of Carryover |
走査型電子顕微鏡によって解析を予定していた鳥類の羽根を全て観察できなかったことと、CT三次元立体画像解析による四肢の機能形態学的解析がおこなえなかったことから、次年度にその解析のために必要な経費を繰り越すことになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
観察できなかった標本において、走査型電子顕微鏡解析を実行するための消耗品を準備するために本年度の未使用経費を次年度経費と合わせて使用する。次年度経費は、さらにCT三次元立体画像解析による四肢の機能形態学的解析のための消耗品の準備に主に使用する。
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