2016 Fiscal Year Research-status Report
温暖化が自然共生型水田淡水生物の相互作用とその多様性及びイネの生育に及ぼす影響
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26440229
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
安田 弘法 山形大学, 農学部, 教授 (70202364)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粕渕 辰昭 山形大学, その他部局等, 名誉教授 (00250960)
佐藤 智 山形大学, 農学部, 准教授 (70444023)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 温暖化 / 水田湛水生物 / 種内・種間相互作用 / 自然共生型水稲栽培 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は、温暖化が水田湛水生物の種内・種間相互作用に及ぼす影響について個体群レベルの要因実験を行った。実験は、50cm×50cm×20cmのプラスチックの水槽に加温器を入れ、水温を26度と32度に操作した温度区を設定した。そこに、1)タニシ10個体、2)モノアラガイ10個体の単独区と、3)タニシ5個体及びモノアラガイ5個体の混合区を作成した。そして、3つの処理区で、1)生存と発育、2)クロロフィル、溶存酸素、pH、3)雑草の密度を計測した。 その結果、発育に関しては、同種と他種及び温度の有意な影響はなかった。一方、生存率に関しては、タニシでは、単独区と混合区及び2温度処理区でいずれも100%であったが、モノアラガイでは、単独区よりタニシの混合区で生存率が低下し、26度では単独区より混合区で生存率が40%低下し、32度では50%の低下であった。これらのことから、タニシは、モノアラガイの生存率を低下させ、それは温度が高いほど影響が大きくなることが明らかになった。 これらの湛水生物の餌である藻類は、タニシ単独区で最も少なく、混合区、モノアラガイ単独区と増加した。温度が藻類量に及ぼす影響に有意差はなかった。 また、溶存酸素は高温区で低下する傾向があったがpHは温度により変化する傾向はなかった。さらに雑草量はタニシがいる区で少なく、モノアラガイ単独区で多い傾向があり、高温区で少なくなった。 これらの結果から、2種の湛水生物は、餌をめぐる種間競争関係にあり、タニシはモノアラガイに対して競争優位者であると思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「温暖化が自然共生型水田湛水生物の相互作用とその多様性及びイネの生育に及ぼす影響」を解明することを目的としている。H26年度は、湛水生物のキーストーン種であるタニシの生存と発育の及ぼす温度の影響を解明した。 そして、H27年度は、温度が種内・種間相互作用に及ぼす影響を個体レベルで解明した。それらの結果を踏まえて、H28年度は、温度が種内・種間相互作用に及ぼす影響を個体群レベルで解明できたことから、設定した目的の解明に関して研究は着実に進んでいる。これらのことから現在までの研究の達成度は、概ね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、H29年度は、次の実験を中心に行う。 1)野外実験によりタニシと温度がイネの生育に及ぼす影響の解明 2)温度とタニシが他の湛水生物に及ぼす影響の個体及び個体群レベルの要因実験 3)温度とタニシが5種の湛水生物の生存と発育に及ぼす群集レベルの実験 これらの実験結果をもとに、水田の多様な湛水生物への温度とタニシの影響を明らかにし、温暖化が水田湛水生物に及ぼす影響について考察する。また、H29年度は、これまでの研究結果を投稿論文にまとめ、学会誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた消耗品を買う必要がなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品を買う予定である。
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