2016 Fiscal Year Annual Research Report
The origin and success of a Pica pica population recently established in Hokkaido.
Project/Area Number |
26440232
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤岡 正博 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (70183100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早矢仕 有子 札幌大学, 地域共創学群, 教授 (40347729)
玉田 克巳 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 環境・地質研究本部環境科学研究センター, 主査 (60442620)
森 さやか 酪農学園大学, 農食環境学群, 准教授 (70623867)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カササギ / 分布拡大 / 外来生物 / マイクロサテライト / 安定同位体比 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA解析による由来地と創始者数の解明については、北海道・九州・ロシア・韓国・台湾などから200近いサンプルを収集し、マイクロサテライトとミトコンドリアDNAのコントロール領域について解析を進めた結果、北海道個体群はロシアに由来する可能性がもっとも高いことがわかった。創始者数を推定するには至らなかったが、少数個体の人為的な持ち込みが由来である九州個体群に比べて北海道個体群では遺伝的多様性がはるかに高いことから、多数あるいは繰り返しの侵入が示唆された。 人為的餌資源の利用実態の解明については、北海道苫小牧市において収集したカササギの卵や羽毛および潜在的な餌資源の炭素と窒素の安定同位体比を分析した結果、産卵期で約6割、夏で約4割の栄養源がペットフード由来であると推定された。この結果は、北海道におけるカササギの生息環境が主に住宅地であることや、近年の海外におけるカササギの都市鳥化の報告と一致している。 個体数と分布域のモニタリングについては、現在の分布の中心地である苫小牧市において全域の総数調査を繰り返し実施し、総個体数が約200羽であることを明らかにした。その他の北海道内での分布状況については、文献調査とウェブを利用した情報収集システム、および現地の探索調査を組み合わせることにより、1980年代以降に室蘭から苫小牧の沿岸部から少しずつ分布範囲が広がり、現在では札幌市でも繁殖していることを明らかにした。 しかしながら、巣内の観察が難しく、繁殖成功度を評価できなかったため、分布中心地と周辺域におけるアリー効果の比較はできなかった。そのため、将来の分布については、現時点では信頼性の高い予測が不可能と判断し、予測地図の提示は見送った。
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Remarks |
カササギの基本情報や北海道における生息情報を提供するとともに、一般市民が目撃情報を地図上から容易に入力できるシステムを提供。科研費終了後も存続するように手配済み。
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