2016 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological investigations for economical walking speed and gait transition speed as an environmental adaptation
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26440266
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
安陪 大治郎 九州産業大学, 健康・スポーツ科学センター, 講師 (10368821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福岡 義之 同志社大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20265028)
堀内 雅弘 山梨県富士山科学研究所, 環境共生研究部, 主任研究員 (50310115)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ロコモーション / 歩行 / ランニング / 経済速度 / 移行速度 / 積分筋電図 / MPF / 常圧高酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで、ヒトの経済速度は「脚長」で説明されると考えられてきたが、H27年度に行った常圧低酸素実験(Part 1; 吸入酸素濃度の影響 FiO2=11%、15%、21%)から、活動筋レベルの有酸素能力が、経済速度の約40%程度を説明する(Horiuchi et al. 2016)という結果を得た。この結果に加えて、FiO2=15%という'moderate'な常圧低酸素条件(Part 2; 傾斜の影響 傾斜=0%と±5%、FiO2=15%と21%)では、吸入酸素濃度の違いに関わらず経済速度と移行速度は変化しないが、移行速度帯での下腿筋活動様相は吸入酸素濃度の違いより傾斜による影響を強く受けることを明らかにした(Abe et al. 2017)。 これらの知見を基に、H28年度は常圧高酸素条件(FiO2=40%)を設定し、終末呼気二酸化炭素濃度を実験的に操作した。この実験的操作によって、高酸素条件では常酸素条件と比較して、高速歩行および走行時に有意に換気応答が抑制された。また、経済速度は高酸素条件で常酸素条件より有意に高速化することを示した。そこで、両条件におけるエネルギーコストの違いに対する換気および心拍コストの影響を検討したところ、換気(呼吸)と心拍(循環)という推進力に直接貢献しないエネルギーコストが、常酸素-高酸素条件間に見られたエネルギーコストの違いを70%以上説明しうることを明らかにした。また、移行速度は高酸素条件下で常酸素条件より3.2%(平地)、+5%の登り傾斜条件では4.6%低下するという予想に反する結果を得た。これは、歩行より走行の方が高酸素による低換気、低心拍応答が顕在化するため、走速度に対して直線的な応答を示す酸素消費応答(J/kg/km)が大きく下方シフトするためと考えられた。今後、移行速度帯における筋活動様相に関する解釈を進めていく。
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