2014 Fiscal Year Research-status Report
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26450107
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
五十嵐 雅之 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 主席研究員 (40260137)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 代謝物 / 深海由来放線菌 / Streptomyces / Nonomuraea / Micromonospora / 抗生物質 / 代謝物解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
深海底泥および関連する陸上や浅海底泥から放線菌群の分離をおこない分類学的位置付けを明らかにするとともに深海棲放線菌に特徴的な生理活性物質を調べる。 本年度は、深海底泥および浅海底泥81サンプルより放線菌群の分離をおこない275株の放線菌群を分離した。これら放線菌のうち、Micromonospora属放線菌について、陸上由来Micromonospora 属放線菌と16SrRNAのDNA全配列を基調とした分類とLC/MS/MSを用いた代謝産物の多様性を比較し、16SrRNAによる分類に比べ代謝産物の方が深海底泥棲と陸棲では違いが大きい事を報告した(第41回BMSコンファレンス)。さらに、深海底泥由来放線菌の代謝物を逆相カラム LC/MS/MS により多変量解析 を行い特徴的代謝物の出現頻度を解析したところ、相模湾深海底泥由来放線菌がディクショナリーオブナチュラルプロダクツに未掲載の分子式を有する代謝物を含有している事が判明した。本菌は、相模湾深海底シロウリ貝群集地より分離し、16SrRNAのDNA配列よりStreptomyces属放線菌であった。この特徴的代謝物は、分子式C17H30O9N4であった。現在、本化合物の構造を決定するため大量培養ならびに単離精製を行なっている。一方、抗菌パネル試験評価系を用いた評価系において、日本海溝海底泥由来放線菌がグラム陽性菌に特徴的な抗菌活性を有する物質を生産する事が見出された。本菌は、16SrRNAのDNA配列より希少放線菌Nonomuraea属放線菌であった。本物質は、高分解能MSより分子式C29H19NO6の新規化合物と考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、深海底泥および関連する陸上や浅海底泥から放線菌群の分離をおこない分類学的位置付けを明らかにするとともに深海棲放線菌に特徴的な生理活性物質を調べ、有用新規化合物の探索源として、深海棲放線菌が有用である事を示すことである。初年度は、1.Micromonospora属放線菌について、陸上由来Micromonospora 属放線菌と16SrRNAのDNA配列を基調とした分類とLC/MS/MSを用いた代謝産物の多様性を比較し分類に比べ代謝産物の方が深海底泥棲と陸棲では違いが大きい事を示した。2.LC/MS/MS による特徴的代謝物の出現頻度を解析し相模湾深海底泥由来放線菌が新規物質と考えられる化合物を見出した。3.抗菌パネル試験評価系を用いた評価系において、日本海溝海底泥由来放線菌が新規抗菌物質を生産している事を見出した。以上、1、2、および3から初年度の目標としては、充分達成していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の予定としては、以下4項目について検討する。1. Micromonospora属放線菌以外の放線菌について陸上由来と海底泥由の放線菌について16SrRNAのDNA配列を基調とした分類とLC/MS/MSを用いた代謝産物の多様性を検討する。2. 16SrRNAのDNA配列を基調とした分類以外の分類指標を用い、代謝産物の多様性や深海底で分布する 放線菌の偏在性に付いて対応する分類的指標を検討する。3. 現在までに発見した、2種の新規物質について、大培養および単離精製を行い構造決定および生物活性を調べ有用な化合物かどうか調べる。4. 引き続き、有用新規化合物の探索として、抗菌活性と細胞 毒性のフィンガープリンティングにより特異的代謝物探索を行なう。
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Causes of Carryover |
研究室の新棟移動のため、大量培養計画がずれ込み次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の早期に大量培養、精製を予定している。
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Research Products
(1 results)