2016 Fiscal Year Research-status Report
北海道太平洋沿岸の海霧を考慮した気候的乾湿度に対する海浜樹木の環境応答
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26450206
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
真坂 一彦 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林業試験場, 主査 (60414273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 江利子 国立研究開発法人森林総合研究所, その他部局等, 主任研究員等 (20353584)
岩崎 健太 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部林業試験場, 研究職員 (70723047)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 気候的乾湿度 / 海霧 / 生理学的応答 / 海岸林 / カシワ |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道沿岸域のカシワ海岸林9ヵ所(天塩、浜頓別、白糠、新ひだか、長万部、江差、石狩、伊達、大樹)において気象観測を行い、Penman-Monteith式から地表の蒸発散能を推定した。また、最寄りの気象台のデータから、霧日数などを引用して、気象データ間の相関分析を行った。このうち、霧日数は平均気温との間に有意な負の相関が認められ、地表の蒸発散能に影響していることが明らかになった。 植物における水ストレスの指標となる炭素安定同位体比δ13Cおよびクロロフィルaとbの比は、地表の蒸発散能との間に有意な負の相関関係が認められたことから、海霧の発生は地表の蒸発散能を通してカシワに強い水ストレスを与えていることが示唆された。石狩と白糠でカシワ葉の蒸散速度を測定したところ、霧日数の多い白糠での測定値は常に石狩での測定値より低かった。 日蒸発散量(6月~8月)について、白糠と石狩のカシワ林縁で比較したところ、乾性気候の石狩が湿性気候の白糠より高い傾向にあることが明らかになった。 長万部の湿地縁で砂丘微高地と低地で日蒸発散量(6月~8月)を推定したところ、白糠と同程度で、微高地(2014年, 0.68mm・day-1; 2015年,0.53mm・day-1)と低地(2014年, 0.29mm・day-1; 2015年,0.45mm・day-1)で立地の凹凸による大きな差はないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炭素安定同位体分析を行っていた分析機が最終年度2月に故障し,当面修繕の予定を立てられないため,他研究機関での分析が必要になった。
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Strategy for Future Research Activity |
炭素安定同位体の分析が終了していないサンプルを分析した後,データを解析し,とりまとめて学術雑誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
炭素安定同位体分析が分析機の故障により中断したため,残りのサンプルの分析に支出する必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
道外研究機関(大学等)において分析するための旅費および機械使用料として支出する予定。
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