2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26450291
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
藪 健史 日本大学, 生物資源科学部, 研究員 (00551756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 倫明 国立研究開発法人水産総合研究センター, その他部局等, その他 (80344323)
今村 伸太朗 国立研究開発法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (80510007)
司馬 肇 (張培淦) 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (90256834)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 水産化学 / セラミド / アポトーシス / セラミド結合性タンパク質 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
セラミドは,熱や紫外線,化学物質等のストレス,TNFα,インターフェロンγ,Fas リガンドなどの炎症性サイトカインの刺激に応答して生成され,神経系,血管系形成,免疫系および性分化におけるアポトーシスに関与する.これまで研究では,スフィンゴミエリナーゼ群によるセラミド生成機構を明らかにしてきたが,セラミドがアポトーシスを誘導する機序は依然不明である.そこで,本研究では,セラミドを輸送し,カスパーゼ前駆体を活性化して,アポトーシスを誘導する未知分子を単離する。この分子が,セラミドの細胞内分布・局在性を決定し,セラミドのセカンドメッセンジャーとしての作用を促進することを,バイオアッセイによって解析する. これまでに発見されているセラミド結合タンパク質は,セラミドアフィニティークロマトグラフィーによりカテプシンD が同定されている.カテプシンD は,リソソームに局在するプロテアーゼで,細胞質に局在しないため,本研究の対象外となる.しかしながら,セラミドと結合性を持つ酵素として同定された。この方法論を活用して,セラミド結合分子の特定に使用できるものと考えられる. そこで,本年度では,セラミドの骨格のアミノ酸セリン残基を有する特徴を利用して,官能基アミノ基と反応性が高い,CH-Sepharose 4B を使ってセラミドカラムを作製した.セラミド結合性タンパク質の精製は,ストレス処理したヒト培養細胞から調整した細胞質画分を使ってFPLCで分画し ,SDS-PAGE ゲルで分離後,ウエスタンブロット解析により溶出したタンパク質を調べた.その結果,セラミドに結合する可能性ある分子は9種であった.その中には,アポトーシス誘導分子,アポトーシス抑制分子や酸化還元反応に関わる分子が存在した.また,これまでに報告されているカテプシンD やセラミド輸送体の存在も確認され,本アッセイが成立しているものと強く示唆するものであった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
セラミド結合タンパク質の同定に成功したこと.さらに,本分子のリコンビナントタンパク質を作製して,セラミドとの結合性を再度確認後,セラミドとの結合率を算出することが可能となったこと.次年度以降から,セラミド結合性タンパク質の解析が,分子が同定できたことから,より具体的になり,試験管レベル,細胞内小器官レベル,細胞レベル,および個体レベルで可能となったこと.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として,本セラミド結合タンパク質を作製して,セラミドとの結合率,細胞内でのセラミドとの相互作用について解析に取り組む.また,ミトコンドリアを精製して,本分子とセラミドとの複合体が,呼吸鎖へ影響を調べる.また,細胞内から本分子を抽出し,どのような脂質が相互作用しているかを調べる.細胞における本分子の役割を調べるため,本遺伝子を導入した発現ベクターを作製して,培養細胞へ導入し過剰発現させて,アポトーシス誘導能を調べる.また,本遺伝子の翻訳阻害試験を試みて,セラミド結合分子(本分子)に依存してアポトーシスが抑制されることを確認する. セラミド結合分子のゼブラフィッシュにおける機能を調べるため,突然変異体を使って,セラミド結合遺伝子の機能異常によって誘発される初期胚の表現型を解析して,遺伝子機能を解明する 以上の計画に基づいて,「セラミドを介する新規アポトーシスの分子機構」を解明する.
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