2017 Fiscal Year Annual Research Report
Historical Roles of fomal and infomal Distibution Channels of Food; Lessons from Hiroshima's Reconstructing Process
Project/Area Number |
26450313
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
矢野 泉 広島修道大学, 商学部, 教授 (90289265)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 卸売市場法 / 中央卸売市場 / 経済民主主義 / 公益性 / 生鮮食料品流通 |
Outline of Annual Research Achievements |
生鮮食料品流通における公的流通システムと民間流通システムのそれぞれの機能や役割を検証する本研究の遂行中、日本政府による農業競争力強化支援法成立の下、「卸売市場法」改正論議が高まった。最終年度においては、公的流通システム(主に中央卸売市場を経由する生鮮食料品流通)と民間流通システム(直売所や契約取引を含めた市場外流通)が歴史的に果たしてきた歴史的役割というこれまでの研究成果をふまえ、現代の「卸売市場法」改正に関わる問題点を抽出した。 その成果の一部は、2017年10月に開催された日本流通学会において「中央卸売市場の公益性に関する一考察」と題し発表した。研究成果の第1の論点として、2016年に突如浮上した卸売市場不要論と「卸売市場法」改正論議には、我が国の生鮮食料品流通が国内の農林水産業や消費者の食生活のあり方の変遷とともに卸売市場を中心に形成されているという歴史的視点が欠如している点を明らかにした。第2に、これまで卸売市場法の改正に際しては、主だった条文改正にしか注目されてこなかったが、条文は改正されていないものの、関連する施行令や施行規則において規定されている取引原則の重要性を指摘した。第3に、それらの条文変更において失われた卸売市場(公的流通システム)が担保してきた経済民主主義的特質と維持されてきた特質について明らかにした。 また、2018年3月に開催された日本農業市場学会特別研究会において「卸売市場制度の変遷と公共性」と題し、2018年3月に出された具体的な改正法案を歴史的文脈に位置づけ、この度の卸売市場法改正がもつ異質性を指摘した。
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