2016 Fiscal Year Research-status Report
インドネシア高地におけるファーミングシステムの選択要因とその効果の解明
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26450330
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
川島 滋和 宮城大学, 食産業学部, 准教授 (80404846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米倉 等 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 総長特命教授 (40312623)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ファーミングシステム / 農家経済調査 / 家内工業 / ハウスホールドモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
アジア・モンスーン地域における高地農業は,貧困による森林伐採や畑作物による土壌流出等の問題が深刻化し,持続可能な農業の確立が喫緊の課題となっている。本研究の目的は,インドネシア・ジャワ島の高地農業において,高収益でかつ持続可能なファーミングシステムの成立条件を解明することである。クローブ,コーヒー,高原野菜等の産地として市場開拓に成功した地域がある一方,依然として収益性の低い食料生産に頼る地域とがある。農家調査等のフィールド調査に基づき,食料摂取状況,市場アクセス等の状況が,ファーミングシステムの選択要因に与える影響を統計的に分析する。 本年度は,農業から家内工業への移行過程を分析するために,レンガ・瓦業における生産費及び流通調査を実施した。インドネシアの農家は,ハウスホールドモデルに代表されるように生産活動と消費行動が一体的に行われている。しかしながら,世帯の生計を維持するために,農業資源と家族労働力を世帯内においてどのように配分しているかという世帯内の資源配分のメカニズムについては十分に明らかにされていない。特に,これまでに農業生産に用いてきた農地を非農業へと転換させる経済的要因については,農産物価格の低迷だけでは説明がつかない。 現地調査として,9月に2週間ジャワ島東部マラン近郊の農村において農家経済調査を実施した。調査対象は,レンガや瓦を生産する農村集落の中からランダムに選んだ93世帯である。サトウキビ等との兼業経営は少なく,出稼ぎにいっている人も昨年度調査したコーヒー生産地よりも少ない状況であった。初期投資が少ないこと,販売価格が安定していること,労働力が年間を通じて平準化されていること等が農業と比較したインセンティブになっていると考えられる。また,レンガ・瓦業は人的なネットワークによって役割が異なることもあり,分業や請負制度が生まれていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目は東ジャワ州マラン県高地の森林破壊と農地開発について調査することができた。2年目は多年生作物であるコーヒー農家,96世帯を対象に農家経済調査を実施することができた。本年度は,農業と家内工業を組み合わせたハウスホールドの意思決定メカニズムを明らかにするために,農村地域のレンガ・瓦業を営む93世帯を対象に農家経済調査を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の3年間において,約200世帯の農家経済調査を実施することができた。森林破壊による農地開発,小規模コーヒー農家の経営問題,さらに,農村地域における家内工業の発展等,さまざまな課題も浮き彫りになってきた。今後は農家経済調査で収集したデータを分析し,インドネシア高地で起きている農業と農業資源の利用方法について論文を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
データの入力析,論文作成等に時間がかかり,研究期間を1年間延長することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品,論文の校閲,投稿料等に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)