2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26450354
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森本 哲夫 愛媛大学, 農学部, 教授 (50127916)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 省エネ / 太陽熱利用 / 活性炭素繊維 / 吸着式冷却 / 青果物貯蔵庫 |
Outline of Annual Research Achievements |
外寸80x80cm、内寸65x65cm、高さ100cm(地下50、地上50 cm)のゼロエネルギー低温貯蔵庫を構築した。1m3ほどの貯蔵スペース、気化冷却・断熱用の2重壁(内部に充填材)、床下からの送風システム、自然対流を促す三角屋根と煙突、そして2種の電気をほとんど使わない冷却システムから成る。 2種の冷却システムについて、1つは水の蒸発を最大限に利用した気化冷却システムであり、庫内の2重壁および床を水で湿らせ、自然対流及び太陽電池で駆動するファンで床下から風を送って冷却する。壁および床には蒸発面が大きく通気性の優れた溶岩プレートを用いて効果的に湿らせ、気化冷却を促進させる。また壁の充填材には砂と天然ゼオライトを適度(3:2)に配合して最適な水分の保持と拡散をはかった。この場合、給水量を増やせば充填材の水分含量が増大して庫内の温度は低下するが、ある量以上の供給では逆に上昇した。このため、庫内の温度を最低にする最適な給水量のあることが分かった。この冷却方式により、庫内温度は外気温より約19℃、給水無しの場合より約16℃低下させることができた(晴天日)。 もう1つは、太陽熱で駆動する太陽熱駆動型吸着式氷蓄熱冷却システムの試作である。これは、冷媒としてエタノールを用い、その活性炭素繊維への吸着作用と管内を真空にすることで気化冷却を大幅に促進させて氷をつくり(夜間)、昼間は太陽熱によりエタノールを脱着させるとともに、氷の蓄熱作用で庫内を冷却する。冷媒の変化(気化と液化)は太陽熱で行われるので電気を使用しない。太陽熱集熱器(エタノールの吸着・脱着部)、冷却器(エタノールの気化部)、凝縮器(エタノールを気体から液体へ戻す)から成り、それぞれ熱伝導性に優れた銅製の容器及びパイプで作成した。この冷却システムにより、冷却部の表面温度は-15℃まで低下させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究に入る前からある程度準備をしてり、またゼロエネルギー低温貯蔵庫の作成がスムーズに進んだので、次年度(27年度)に予定していた太陽熱駆動型氷蓄熱冷却システムの開発に着手することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)2重壁(充填材)への水供給による気化冷却システムにおいて、知能的な最適化手法を用い、庫内温度を最低にするための最適な水供給および送風操作をシステム科学的に決定する。 (2)青果物の貯蔵プロセスにおいて、青果物の鮮度と品質低下をできるだけ抑制するための熱ストレス処理法を知能的な最適化法を用いてシステム科学的に究明する。 (3)エタノールの蒸発、活性炭素繊維によるエタノールの吸着、そして太陽熱によるエタノールの脱着の効率化をはかって最大限に冷却できる太陽熱吸着式氷蓄熱冷却システムを完成させる。 (4)銀イオンと天然ゼオライトを混合した抗菌剤を活用して、青果物が腐敗しにくい抗菌性の収納ボックスを開発する。
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