The study of high chlorine forage for prevention of hypocalcemia

2016 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 26450386
• Research Institution: National Agriculture and Food Research Organization
• Principal Investigator: 神谷 裕子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門飼養管理技術研究領域, 上級研究員 (10355696)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 服部 育男 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター畜産草地研究領域, グループ長 (70355692) ; 加藤 直樹 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 九州沖縄農業研究センター畜産草地研究領域, 主任研究員 (90414797)
• Project Period (FY): 2014-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: 塩素 / 低Ca血症 / 乳熱 / 乳牛 / 粗飼料 / 肥料 / DCAD

Outline of Annual Research Achievements

本研究では、高Cl粗飼料栽培・給与という新たな低Ca血症予防法の確立を目指している。初年度は、塩素（Cl）系肥料を施肥することにより、植物体のCl含量を効率良く高められることを示した。２年目は、植物体のCl含有率を高めるための効率的な施肥方法を明らかにし、さらに高Cl粗飼料の嗜好性を確認した。
本年度はCl含量の異なる粗飼料を含むTMRを妊娠牛に給与し、飼料摂取量、尿pH、血漿中ミネラル濃度について検討し、低Ca血症予防効果を検証する。
まず、供試粗飼料として、カリおよび窒素において、塩素系肥料を用いる区（Cl区）および慣行肥料である硫酸系肥料を用いる区（S区）を設定して、トウモロコシおよびイタリアンライグラスを栽培し、Cl区またはS区粗飼料を用いて、妊娠牛用の発酵TMRを調製した。これらのTMRを妊娠牛８頭に給与し、分娩前後の飼料摂取量、尿pH、尿中ミネラル排泄量、血漿中ミネラル濃度について検討した。
その結果、分娩前後のTMR摂取量には両区で有意な差は認められなかった。分娩前における供試牛の尿中pHは、Cl区TMRを給与した牛では、S区と比較し有意に低くなった。また、供試牛の尿中Ca排泄量は、S区と比較しCl区で有意に多くなった。さらに血漿中Ca濃度は、分娩日においてS区と比較しCl区で高い傾向を示した。これらの結果から、粗飼料中Cl含量を高めることでDCAD値を低めたTMRの給与は、妊娠牛の体内の酸塩基平衡に影響を及ぼし、分娩前後のCa代謝を改善させる可能性が示唆された。