2014 Fiscal Year Research-status Report
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26450428
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
菱沼 貢 鳥取大学, 農学部, 教授 (30183578)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 犬 / 精子 / 低温保存 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本製の精子運動解析装置(SMAS)を購入し、犬精子頭部を認識するように設定した。その後、犬新鮮および凍結精液を使用し、光学顕微鏡による目視検査値と精子運動解析装置の測定値に差が認められないことを確認して、犬精子の運動性の客観的かつ詳細な数値化法を確立した。次に、運動性検査時の犬精子の簡便な処理法を確立するために、新鮮精液を前立腺液、PBS、生理食塩水、維持液、乳酸リンゲル液、ブドウ糖加乳酸リンゲル液、食塩加乳酸リンゲル液で希釈し、精子の運動パラメータを測定した。その結果、前立腺液、PBSおよび維持液で希釈した場合に良好な運動性が得られた。以上の結果を、平成26年度 鳥取県獣医学会および日本小動物獣医学会(中国地区)において「犬精子の運動率検査における精子運動解析装置の有効性」として発表した。さらに、精子運動解析装置に使用する測定用スライド6種類を比較した結果、犬精子の運動率および前進運動率では測定用スライド間に差はみられなかったが、精子浮遊液の充填時間や充填時の気泡形成を考慮すべきであることが明らかとなった。犬精子の凍結保存においてグリセリン平衡時間(0~60分)を検討した結果、グリセリン平衡30分群において融解・培養後の精子運動性が良好であり、従来のグリセリン平衡時間(60分)を短縮できることが明らかとなった。さらに、精子運動解析装置は、細胞質小滴を持つ犬精巣上体精子の運動性検査にも有用であり、精巣上体の保存法の判定にも使用できることが判明した。また、尾部奇形精子が多く精液性状が不良な犬の臨床検査として精子運動解析装置が有用であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、犬精子の効果的な低温保存法を開発することである。平成26年度は、1)精子運動解析装置の犬新鮮精子および凍結精子への最適設定条件、2)凍結保存技術の簡略化に関する研究を実施し、研究結果の一部を、平成26年度 鳥取県獣医学会および日本小動物獣医学会(中国地区)において「犬精子の運動率検査における精子運動解析装置の有効性」として発表した。また、3)精子凍結保存液への抗酸化物質の添加、4)糖による精子凍結保存液の浸透圧調節、については予備実験を継続実施中である。 したがって、本研究は目的と計画に従って順調に遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、精子凍結保存液の浸透圧調節における糖の影響を明らかにするとともに、浸透圧とグリセリン平衡時間の関係を解明し、凍結保存技術のさらなる簡略化を進める。同時に、精子検査にフローサイトメトリおよび頭部形態測定を導入し、精子運動解析装置との併用により客観的かつ詳細な数値化法をさらに向上する。精子凍結保存液への保護物質(抗酸化物質、コレステロール等)添加の影響を調べると共に、犬精子のカプセル化凍結保存法の改良のために精子の高度な濃縮・希釈が運動性に及ぼす影響を調べる。 さらに、精子運動解析装置を活用して、犬精液の長距離輸送法、犬精巣上体および精巣上体精子の低温保存法、精液性状が不良な症例における精子運動性検査の臨床応用を検討する。
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