2015 Fiscal Year Research-status Report
骨格筋分化を制御するコンドロイチン硫酸種の同定と機能の解明
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26450444
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
保坂 善真 鳥取大学, 農学部, 教授 (00337023)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 純一 鳥取大学, 地域学部, 教授 (30221401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / 骨格筋分化 / C2C12 / 筋分化関連因子群 / 細胞周期 / 筋管の形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
グリコサミノグリカンの一種のコンドロイチン硫酸(CS)は、二糖の繰り返し構造を持ち、硫酸基の結合位置とその数から7種類に分類される。近年CSは筋分化を抑制する因子であるとの報告がなされたが、その詳細は不明である。 研究1年目は、骨格筋の分化過程を再現できる筋芽細胞C2C12に5種類のCS(CS-A、B、C、DおよびE)をそれぞれ添加し一定期間分化誘導を行った。いずれのCS種も筋管形成を抑制し、中でもCS-Eが顕著な抑制を示したことから研究2年目は、CS-Eを用いて実験を行った。 CS-E(濃度はいずれも0.2ug/mL)が分化過程のどの時期に筋分化抑制を示すかを検討するため、分化培養期間を前期、中期、後期に分けCS-Eを添加した結果、中期(分化誘導開始後3~6日)でのCS-E添加で最も筋分化が抑制された。筋分化関連因子群であるPax7, Myf5, MyoD, Mrf4のmRNAレベルでの発現動態は、CS-Eの有無に関わらず実験期間を通じてほぼ同じであった。ただし、筋管形成を促進するMyogeninは、全ての期間においてCS-E処理によって発現の低下が認められた。細胞周期を比較すると、CS-Eの有無に関わらず、S期の細胞の割合が低下しG0/G1期の細胞の割合が増加したことから、CS-Eは細胞増殖から分化への移行を阻害しないと考えた。 以上により、CSの筋分化抑制機能が細胞レベルで裏付けることができた。CSは筋分化の中期に必要量以上存在すると筋分化の進行に必要なメカニズムを直接的あるいは間接的に抑制すると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、CS-Eが骨格筋分化を強力に抑制する因子であることを、様々な解析によって明らかにすることを目的としており、それを達成することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
CSと筋分化関連因子や受容体との結合能を解析しCSの作用機構を明らかにする。また、筋損傷を誘導した個体に、CSおよびCS分解酵素を投与し、筋修復の過程におけるCSの役割と機能の詳細を解明する。
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Causes of Carryover |
海外のオンデマンド試薬の購入を検討したが、予想以上に取り寄せ期間が必要であることが判明したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用予定であった試薬を現在注文中である。ただし、試薬の残余があるため、実験が停止することはない。
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