2014 Fiscal Year Research-status Report
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26450461
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐伯 和弘 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (10298937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 暢宏 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (60309268)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PDMSマイクロウェル / ウシ体外受精 / 個別 / 自動体外受精 / ガス調節剤 / ウォーターバス / 胚盤胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、同一のPDMS製マイクロウェル(MW)内でウシ卵子の体外成熟受精(IVM/F)および胚培養(IVC)が可能かどうかを検討した。また、ガス調節剤とウォーターバスを用いた簡易体外受精システムについても検討した。ウシ卵巣から卵子(COCs)を吸引し、MWに1個ずつ導入し22時間IVMした。6時間後ピペットにてIVC培地に交換し、39℃、5%CO2、95%空気下で8日間卵丘細胞と共培養した。対照区は常法に従った。MW区での成熟および正常受精率は、対照区と同様だった(P>0.05)が、胚盤胞への発生率は、MW区で19%と対照区(45%)よりも低率だった(P<0.05)が、同一容器内でのIVM/F/Cにより胚盤胞へ発生可能なことが示された。 簡易体外受精システムとして、ガス濃度調節剤(アネロパックCO2、AP-CO2及びアネロパック微好気,AP-MA)とウォーターバス(WB)が利用可能か検討した。また、簡易なガス制御も検討した。実験1:ウシ卵子を以下の条件でIVM/F/Cを行った。1) IVM/F: CO2インキュベーター(INC)、IVC:CO2/O2INC(対照区)、IVM/F:AP-CO2、IVC:AP-MAでガス制御し、2)INC、3)WBでIVCした。実験2: 1)CO2/O2 INCでIVM/F/Cした(対照区)。100%空気INCでIVM/Fした卵子を、2)AP-CO2、3)AP-MAでIVCした。実験1の結果、対照区(33%)とWB区(40%)の発生率は同等だった(P>0.05)。実験2では、100%空気でIVM/Fした卵子を、AP-CO2またはAP-MAでIVCしても胚盤胞への発生率(30%および37%)は、対照区の発生率(34%)と同等だった(P>0.05)。以上よりウォーターバスとガス調節剤でウシ体外受精胚生産が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
一度装置内に導入した卵子を一度も装置内から取り出すことなくそのままの状態で体外成熟・受精し、胚培養することで胚盤胞が得られた。次年度は培地交換をするための微小流路の設計もほぼ完成している。さらに、大型のインキュベーターを用いなくても小型のウォーターバスと細菌培養用のガス調節剤だけで、今までの体外受精成績と全く変わらない発生率が得られた。次年度はこれらを組み合わせた装置の開発も行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、ウシ卵子の体外成熟で利用していたマイクロウェルを用いて成熟・受精・発生を行い、一切卵子を装置外に取り出さなくても胚盤胞にまで発生させることに成功した。しかし、発生率は19%と対照区の45%と比べ、1/2以下だった。マイクロウェルの適正サイズの検討は勿論のこと、体外受精後、卵丘細胞の除去を自動で行うことが困難なため、共培養法を用いたことによると考えられた。マイクロウェル内での卵丘細胞の増殖は見たところ不充分に思われた。このため、現在カバーグラスを底面に貼付しているが、底面の素材やガス気相や培地へ血清添加など検討が必要と考えている。 培養液の交換については、今回ピペットで行ったが、すでに微小流路の設計を行っており、次年度には検討を進める予定である。また、簡易培養装置として、温度制御にウォーターバスが利用できること、体外成熟および受精の過程では、ガス制御が不要であり、胚培養にのみガス調節剤を利用するだけで、今まで実施してきた大型のインキュベーターでの体外受精成績に匹敵する発生率が得られることを示した。このことから本研究で目論んでいる自動体外受精装置を非常にコンパクトな装置として作成することができると考え、上記の自動培養液交換システムとの組み合わせを進めていきたい。さらに、体外受精がうまく進んでいるかを確認するため、小型の顕微鏡カメラ(TLC装置)を開発しており、このTLCを組み合わせて胚発生をモニターできるようにしたい。
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Causes of Carryover |
83456円を繰り越した。以下の2件の支払いが本年度できなかったため次年度に予定しているためである。1つは、卵子成熟用の培養液を注文したが受注生産のため年度内納品ができなかった。2つめは、国際誌の論文(Cell Reprogram)の印刷費が600米ドルあり、3/10にクレジットカードで支払ったが、銀行からの引き落としが5月となるため、次年度へ繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
1つめの培養液は、4月に納品を予定している。2つめの論文印刷費は、5/7に引き落とされる予定である。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Early development of cloned bovine embryos produced from oocytes enucleated by fluorescence metaphase II imaging using a conventional halogen-lamp microscope.2015
Author(s)
Iwamoto, D., Yamagata, K., Kishi, M., Hayashi-Takanaka, Y., Kimura, H., Wakayama, T., Saeki, K.
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Journal Title
Cell Reprogram
Volume: 17
Pages: 106-114
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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