2015 Fiscal Year Research-status Report
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26450461
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
佐伯 和弘 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (10298937)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 暢宏 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (60309268)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | PDMS製マイクロウェル / ウシ体外受精 / 自動体外受精 / 微小流路 / 経時的胚観察装置 / 卵割のタイミング / 胚盤胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、PDMS製のマイクロウェルに微小流路を設置し、マイクロウェルに1個ずつ卵子を導入、微小流路を通じて培養液のウェル内での交換が可能かを検討した。 300μm径のマイクロウェルを縦4列、横3列に配置し、流路を横からつなぐ形態とした。マイクロウェルと流路はPDMSで作製し、上部をカバーガラスで塞いだ。卵子の導入が可能となるよう、ウェルの上方のカバーガラスを丸く開けた。今回は、シリンジポンプを用い培養液を流した。培養液のプライミング後、ウシ卵子を導入したところ、すべてのウェルに卵子を静置することに成功した。静かに培養液を流したところ、流速が早いと培養液が流れ込む最初のウェルの卵子がウェル上方に押し出されることが分かった。流速を低くするといずれのウェルの卵子もウェル内に留まるものの、流路がやや太いため流れ込む流路に卵子がはまり込むようになった。これらより、今後、流速や流路のサイズの検討を行う必要があることが分かった。 また、体外受精装置の自動化における胚発生観察装置の開発も並行してすすめた。共同研究者の加藤准教授が作製した経時的胚観察装置(TLC)を用いて、ウシ胚の発生状況を観察可能かどうか検討した。市販のN社およびS社のTLCも培養実験に用いた。第1号機は、焦点変更モーターつき撮影用レンズ付きカメラ、制御PC、およびLED照明装置を組み込んだTLCで、装置全体をインキュベーター内に設置し、USBケーブルにより外部のPCで制御した。TLCを使用しなかった対照区の卵割率は87%、自作、N社およびS 社は、それぞれ81%、90%および63%だった。また、胚盤胞への発生率は対照区43%、自作、N社およびS 社は、それぞれ、23%、33%および11%だった。自作TLCの発生率は、N社および対照区よりやや低いものの今後の機器の改善で発生率の低下を防げると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロウェルに微小流路を設置し、培養液のプライミング後、ウェルへのウシ卵子の導入に成功した。また、培養液を流し卵子がウェル内で維持できることも分かった。まだ培養可能なものまでは至ってはいないが、微小流路を有するマイクロウェル内の培地交換が可能なことが実証できた。さらに、自作の経時的胚観察装置(TLC)も作製でき、胚発生を観察可能となったことは、自動化において大きな前進だと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
微小流路付きマイクロウェルに関しては、ウェルに卵子を導入して培養液を流すことが可能となったことは大きな前進ではあるが、培養するには、流路の太さや流速などの検討が必要なことも明らかになった。自動で培養液交換が可能となれば、ヒト体外受精での利用も可能となることから、利用価値の大きなシステムとなると思う。TLCに関しては、インキュベーター内の温度上昇を抑えるため、レンズの焦点をモータードライブから手動に、装置内に設置していたUSBハブをTLC装置から外部に出して、インキュベーター外部に設置するようにした。また、照明が見にくいこともあったので、照明システムの改善方法についても検討中である。これらの改善を進めることで、より発生率に影響せず、初期発生過程を明瞭にモニターできるTLC装置の開発を進めていきたい。また、TLCからの取得画像から目視で卵割タイミングを調べることは非常に労力を要する。このため画像解析により自動で卵割を検出できるソフトについても開発中であり、これが利用可能かについても検討したい。 自動体外受精については、昨年度、同一のマイクロウェルでのIVM/F/Cをできる事を示したが、本年度はあまり進捗していない。一方で、より簡単なIVPが可能となるような、1本の試験管に未成熟卵子を導入し、培地をピペットで交換するだけでIVM/F/Cができるシステムを考案している。
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Causes of Carryover |
可能な限り次年度使用額がでないよう努めたが、物品などの実勢価格が予想より低かったり、使用する卵巣数が予想より少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
卵巣代の値上がりが予定されており、残額についてはすぐに消化されると思う。
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Research Products
(8 results)