2015 Fiscal Year Research-status Report
障害者の実践と緑環境の開示内容との関連に基づいたユニバーサル化情報の主流化要件
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26450493
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
美濃 伸之 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 教授 (00336835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶽山 洋志 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 准教授 (40344387)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 公園緑地 / 障害者 / バリアフリー / ユニバーサルデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,先導的障害者によるユニバーサル化情報収集の実態を明らかにし,緑環境の野外活動に関する開示内容との関連性を分析することにより,ユニバーサル化情報が緑環境の開示内容へ主流化するための要件を明らかにする。また,当該要件を備えた緑環境活動アーカイブを作成し,一般公開等を通じてその有効性を検証する。
まず,先導的障害者による情報収集の実態を明らかにする。主となるものは,緑環境プログラムを利用する際のバリア特性に関わる情報で,主な障害(移動,視覚)により,何がどの程度妨げられるのかについての内容とし,それらは先導的障害当事者から見たプログラム難易度とその評価プロセス,主たる情報源を詳細にヒアリングすることにより明らかにする。次に,望まれるユニバーサル化要素と緑環境の野外活動に関する開示内容との関連性を分析し,主流化の要件を明らかにする。関連性分析は,ユニバーサル化要素の重要度と緑環境の開示内容の出現頻度との関連を中心に実施し,情報の相似性,代替・付加可能性,自律的更新の可能性等に留意する。ここでは,容易に主流化が実現できるものを明示していくことはもとより,ユニバーサル化情報のアレンジの仕方や組み込み方についても十分に検討する。また,単なる要素の組み込みにとどまらぬよう,全体が適切にバリア特性への気づきに誘導されているか,バリア低減・回避策の共有化・取り込みにつながっているかにも留意する。これらの検討の後は,ユニバーサル化情報を主流化した緑環境活動アーカイブを作成,Web等を通じた一般への公開やその自律的な改善を試行し,実践レベルでの有効性を検証する。当該アーカイブは,対象地域における公式ホームページに内在させることを予定し,自律的改善や一般訪問者からのアクセスを試行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、先導的障害者によるバリアフリー情報収集に関して,その情報源と信頼の置き方について重点的に調査を実施した。ここでは,障害を肢体不自由に限定し、52名を対象に質問シートを用いてのヒアリングを実施した。対象者属性としては男性77%女性23%、30代40代が中心で、週3~5日ほとんど毎日外出以上が95%以上、外出範囲も海外旅行が20%、近隣他府県23%と広いため、障害当事者の中では積極的に外出をしている層であり、事前情報も事前に8割以上がおおむね調べると回答しているため、調査に適合していると考えられた。まず、優先して調べる内容についてであるが,①空間,②交通手段,③施設詳細または配置,④活動や参加,⑤環境要因,⑥固有バリア,⑦障害利用確認,⑧人的ソフトのうち、2つ選択をしていただいた結果、②交通手段33%、③施設詳細または配置21%、④活動や参加23%、⑦障害利用確認13%となった。また、情報源別の使用頻度、収集のしやすさ、信頼の置き方について、1.主体からの情報発信、2.利害関係者以外の第3者もしくは口コミサイト、3.ユーザ特性が明確に分かる主体が発信する情報、4.口コミ、人づて、個人サイト(属性既知)、5.口コミ、人づて、個人サイト(属性既知)を評価していただいた結果、いずれの項目も、1.主体からの情報発信、および4.口コミ、人づて、個人サイト(属性既知)の評価が高く、それらに含まれる内容としては、記載の他に写真の使用頻度が高かった。これらのことから、公式と属性を伴ったユーザからの情報発信の充実が今後に重要であると考察され、次年度の調査を継続する。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、前年度までの調査結果を踏まえながら、公園緑地における一般的な開示情報の実態を把握する調査に重点を置き、ユニバーサル化情報の主流化に向けて考察を行う。具体の対象としては、国営明石海峡公園を想定し、ここでの公式ホームページ、配布ちらし、記者発表、新聞掲載等、運営主体からの情報発信すべてを網羅し、その内容分析を行い、上記の検討を実施する。ここでは,容易に主流化が実現できるものを明示していくことはもとより,ユニバーサル化情報のアレンジの仕方や組み込み方についても十分に検討する。また,単なる要素の組み込みにとどまらぬよう,全体が適切にバリア特性への気づきに誘導されているか,バリア低減・回避策の共有化・取り込みにつながっているかにも留意する。
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Research Products
(1 results)