2015 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病の個別化医療を目指したサブグループ特異的なバイオマーカーの同定
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26460200
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
城谷 圭朗 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (20322696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 純男 熊本大学, 生命科学研究部薬学系, 教授 (60323036)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / バイオマーカー / アミロイドベータ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は対照者と細胞内にアミロイドベータタンパク質を蓄積する家族性アルツハイマー病患者(細胞内タイプ)のiPS細胞由来神経細胞の培養上清から培地成分のBSAを除去し、LC-MSMSでバイオマーカー候補分子を59個同定した。本年度はさらに候補分子を絞るため孤発性の細胞内タイプアルツハイマー病患者のサンプルをLC-MSMSで分析し、前述の59個の中から3個を家族性と孤発性アルツハイマー病に共通した細胞内タイプのバイオマーカー候補として抽出した。一方、家族性および孤発性アルツハイマー病の細胞外にアミロイドベータタンパク質を蓄積する細胞外タイプのiPS細胞から神経細胞の培養上清を調製し、これまでと同法でLC-MSMSで分析した。その結果家族性と孤発性アルツハイマー病に共通した細胞外タイプのバイオマーカー候補として3個を、全アルツハイマー病共通のバイオマーカー候補として1個を抽出した。 これら7個の抽出したバイオマーカー候補が確かにiPS細胞由来神経細胞の培養上清中で量的に変化しているかを確かめるため各抗体を用いてウエスタンブロット法もしくは免疫沈降とウエスタンブロット法を組み合わせた方法により検出を試みた。その結果1個の候補分子を検出することができた。しかしながら他の6個は検出できなかった。 上記の分析とは別にiPS細胞由来神経細胞の培養上清からレクチンカラムにより糖タンパク質を精製し、タンパク質がどの程度同定できるかの予備検討を行った。iPS細胞から分化させた神経細胞の培養上清をMAH、WGA、PNAの3種類のレクチンカラムにアプライし、糖タンパク質をそれぞれ溶出した。各レクチンカラムの溶出画分には糖タンパク質の量が少なかったので3つの溶出画分をひとまとめにしLC-MSMS分析した。その結果総計で430分子を同定することができた。これによりレクチンカラム3つを組み合わせた精製法によりバイオマーカー候補の同定が可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞内および細胞外にアミロイドベータを蓄積するタイプのiPS細胞を神経細胞に分化させた後の培養上清を部分精製し、質量分析計を用いた網羅的解析を行い、バイオマーカー候補を複数個同定しているため。またレクチンカラムを用いた新規方法でもタンパク質の同定が可能であることが明らかになったから。
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Strategy for Future Research Activity |
既に同定した7個のバイオマーカー候補分子については、感度の高いELISA法もしくは質量分析法でiPS細胞由来神経細胞の培養上清中の量を定量し、確かに量的変動が起こっているかを調べ、患者の脳脊髄液でも量的変動があるかを調べる。 レクチンカラムを用いて、iPS細胞由来神経細胞の培養上清から糖タンパク質を精製しLC-MSMSにてアルツハイマー病のバイオマーカーの候補分子を同定する。同定後は、上記と同じように培養上清での量的変動の確認後、患者の脳脊髄液で量的変動を調べる。
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Research Products
(2 results)