2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the personalized medicine for pulmonary arterial hypertension by the pharmacogenomic approach
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26460213
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
江本 憲昭 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30294218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 剛 社会医療法人神鋼記念会(総合医学研究センター), 総合医学研究センター, 助手(移行) (00437493)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 個別化医療 / ゲノム / エンドセリン受容体拮抗薬 / ボセンタン / 遺伝子多型・変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、肺高血圧症患者の臨床データベースを構築し、患者検体から得られた遺伝子多型・変異と臨床データを解析することにより、薬効および副作用モデルを構築し、将来的に個別化医療への応用を目指すことである。 平成28年度は、肺高血圧治療薬として汎用されるエンドセリン拮抗薬であるボセンタンの副作用の肝機能障害に焦点を絞り、薬物代謝経路に関連する遺伝子の網羅的解析を実施した。Fisher’s exact test と logistic regression analysisを用いた統計学的解析の結果、複数の遺伝子の変異がボセンタンに伴う肝障害の発生に有意に相関することが明らかとなり、腎障害および年齢を説明変数として加えることによりボセンタンによる肝障害の予測モデルを作成した。これらの成果は学会で発表するとともに、論文投稿中である。 また、今回解析した群とは異なる患者群において、臨床データと遺伝子解析を進め、この予測モデルの妥当性を検討した。さらに、昨年度に確立したボセンタンの血中濃度を微量検体から測定するシステムを用い、1日2回の採血でボセンタンの代謝を予測する解析系を構築した。 現在、当該遺伝子を改変したマウスを用いて、ボセンタンによる肝障害発生のメカニズムの解明に取り組んでいる。 これらの結果は、難治性疾患である肺高血圧症患者の薬剤の選択において重要な情報をもたらすことが期待され、医療経済的な観点からも肺高血圧症に対する個別化医療の一助となることが期待される。
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