2016 Fiscal Year Annual Research Report
Ultrastructural study on epithelial cell exfoliation and reconstruction by high-pressure freezing
Project/Area Number |
26460278
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
澤口 朗 宮崎大学, 医学部, 教授 (30336292)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高圧凍結技法 / 上皮更新 / 超微細形態 / 電子顕微鏡 / 胃粘膜傷害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は独自に開発したラット単離胃粘膜の応用研究により確立された「細胞剥離」実験解析モデルをもとに、胃酸分泌刺激の加減によって細胞剥離を制御できる特性を活かしながら、生体における細胞剥離とそれに伴う上皮連続性再構築機構の解明を研究目的とする。 研究計画の最終年度にあたる平成28年度は、胃底腺峡部細胞増殖帯における分裂亢進と細胞分化に関わる細胞動態解析を行った。胃底腺峡部は幹細胞が位置する細胞増殖帯となっており、胃小窩壁細胞の剥離亢進に付随して細胞分裂と壁細胞への分化が亢進することが予想された。そこで、BrdU、PCNA、Ki67をはじめとする細胞分裂マーカーや、分化した胃小窩壁細胞と選択的に結合するピーナッツ・レクチンを用いることで、細胞剥離に伴う細胞動態の変化を組織化学的に可視化して検討を加えた結果、剥離亢進から120分まで顕著な細胞分裂の増加は認められないことが明らかとなった。 また、胃小窩壁細胞の剥離に伴う上皮細胞連続性再構築が破綻した場合、欠損部から強酸性を示す胃酸やペプシンをはじめとする強力な消化酵素が胃粘膜固有層に流入し、胃粘膜傷害をもたらすことが予想された。そこで、剥離現象に基づく胃粘膜傷害発症メカニズムの解明を目指した応用研究として、臨床で汎用されるH2-receptor阻害剤やプロトンポンプ阻害剤などの胃酸分泌抑制剤が、胃小窩壁細胞の剥離を抑制するか否かを検討した結果、いずれの薬剤も剥離を顕著に抑制することが確認された。本研究で得られた成果をもとに、ヘリコバクター・ピロリ菌感染による胃粘膜傷害をはじめとする重要課題の解決に繋がる端緒が得られるものと期待される。
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