2014 Fiscal Year Research-status Report
小脳オレキシンによる睡眠覚醒モードの呼吸神経回路動態の解析
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26460327
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
荒田 晶子 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (00266082)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オレキシン / 小脳 / 橋結合腕傍核 / 呼吸性活動 / 光学的測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、呼吸性神経回路と小脳の関連性において、小脳のオレキシン神経に、どのような役割があるのか調べようという独創的な研究である。新生児期ラットにおいて、下オリーブ核を介して呼吸活動が小脳にも捉えられたことを申請者らは確認している。また、自律神経の統合核として最近注目を集めている橋結合腕傍核(NPB)は、スライス標本では回路が切れてしまい、in vivo標本ではアプローチが難しい場所にあるということで、なかなか研究が進まないところであるが、この摘出脳ブロック標本を用いることにより、NPBの研究を進めることが出来る事も特徴である。さらに覚醒維持状態を生むとされるオレキシン神経の光操作により、オレキシンを興奮または抑制することで、睡眠覚醒に関与する自律神経系の反応を解析できる点は、この実験の特徴である。 今年度は、この呼吸性神経回路の存在した標本を用いて、呼吸性ニューロンの細胞外記録、ホールセルパッチクランプ法を用いた細胞内記録を用いて、この標本における呼吸性ニューロンネットワーク連関を解析した。下オリーブ核に対して呼吸性入力があるのか、下オリーブ核から小脳片葉・傍片葉へ入力があるのかをそれぞれの場所でホールセルパッチクランプ法を用いて、ニューロンを記録し、ニューロビオチンを細胞内注入し、さらにそれぞれの場所を電気刺激してその応答を調べた。その結果、呼吸中枢より下オリーブ核への入力があり、それが小脳皮質に投射していることが分かった。呼吸の出力に大きく影響をする中枢性化学受容体からの反応性とオレキシンとの関連性を調べるため、高CO2や低O2のリンゲル液を標本に潅流した状態で、オレキシンを加えると第4頚髄前根から呼吸性活動は、興奮を示すだけでなく、過度の呼吸の上昇も見られた。今後は、このネットワークに回路依存的な過興奮システムのようなものがあるのかどうか、調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摘出小脳‐橋-延髄-脊髄標本を用いて、電気生理学的・組織学的・光学的測定において、下オリーブ核-小脳片葉・傍片葉-橋結合腕傍核のネットワークの相互連関を調べるという当初の研究予定は、大体進行どおりである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、光学的測定法を用いて下オリーブ核・小脳傍片葉に呼吸性活動が見られるのかを、呼吸性活動を指標としたcycle-trigger-optical imaging systemにより可視化する。さらに、光操作の光源やファイバーを買い求めたので、これを、こちらの標本仕様にするために集光レンズを調整する予定である。それを用いて、オレキシン神経の光操作(オプトジェネティック操作)のon-offにより、小脳の傍片葉ー橋結合腕傍核-下オリーブ核のネットワークにおけるオレキシンの反応性を抽出して、睡眠覚醒モード切り替えに関する小脳の役割を解析するつもりである。
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Causes of Carryover |
研究遂行に必要な機器類を買うため、概算で前倒し請求をしたので、若干であるが繰越金が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度にて、消耗品や動物代等に充てる予定である。
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Research Products
(10 results)