2014 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患におけるインターロイキン11を介した粘膜修復機構の解明
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26460397
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
仁科 隆史 東邦大学, 医学部, 助教 (50598365)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 裕子 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60231312)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 修復 / レポーターマウス / 腸炎 / IL-11 / 恒常性 / 粘膜 / サイトカイン / 腸管 |
Outline of Annual Research Achievements |
消化管の恒常性は、外来性因子に対する宿主の様々な組織の応答が、適切に制御されることによって維持されている。この中で我々は最近、消化器がんの悪性化に関与すると考えられているサイトカインIL-11 が、実は腸管炎症に伴って産生され、炎症性腸疾患の病態減弱に関わる因子であることを示す予備的知見を得た。本研究は、腸管の恒常性維持におけるIL-11 の具体的な役割と、その産生制御機構を明らかにすることを目的とする。
腸炎に伴い産生されるIL-11 の具体的な役割を明らかにする目的で、潰瘍性大腸炎モデルの一つであるデキストラン硫酸誘発性腸炎モデルを、IL-11の機能欠損マウスであるIL-11受容体欠損マウスを用いて作出し解析を行った。その結果、IL-11受容体欠損マウスにおいては対照群と比較して、生存率の低下、病変部位における炎症系サイトカインの産生量や免疫細胞浸潤の亢進がみられた。また、IL-11の標的細胞同定を目的に骨髄キメラマウスを作製し解析を行った結果、IL-11は非骨髄由来の細胞に作用することで、病態の増悪に抵抗性を示していることが明らかとなった。加えて、粘膜炎症時のIL-11 産生制御機構を明らかにするために、我々が新たに樹立したIL-11レポーターマウスを使用して 、生体でのIL-11 産生細胞の同定を試みた。その結果、腸炎誘導に伴いIL-11産生細胞は、粘膜上皮が脱落した炎症部位に特異的に集積しており、産生細胞における各細胞特異的分化マーカー分子を解析したところ、産生細胞は非骨髄由来の細胞であることを明らかとした。 すなわち我々は新たに、IL-11は腸炎の誘導に伴い非骨髄由来の細胞より産生されること。そして、産生されたIL-11は、非骨髄由来の細胞に作用することで、腸炎の減弱、恒常性維持に関与していることを現在までに見出している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初の当該年度の課題であった、1) 腸管炎症時におけるIL-11 の役割の解明、2) 粘膜炎症時のIL-11 産生細胞の同定とIL-11 産生機構の解明という項目に関して研究をすすめた結果、我々は今後の研究の進展において基盤となる研究結果を現在までに得ることができていると考えられる。また、IL-11産生細胞に関して当初予期していなかった知見も得られはじめていることから、今後さらに研究を発展させることができると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに、腸炎の誘導に伴い産生されたIL-11は、非骨髄由来の細胞に作用することで、腸炎の減弱、恒常性維持に関与していることを現在までに見出している。 しかしながら、どのような機構を介してIL-11が腸炎の増悪に対して抵抗性に働いているか不明な点が残されている。よって今後は、IL-11の下流で活性化される機構、すなわち標的細胞や標的分子の同定を試みる。また、IL-11の産生機構をあきらかにするために、IL-11の産生に関わると報告されている分子や細胞の関与を阻害剤や遺伝子改変マウスを用いた解析から明らかにすることで、IL-11を介した腸管炎症時の細胞間クロストークを明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
残額が、年度内で試薬を購入するには少額であるため、次年度分と含めて試薬購入に充てた方が、有益に使用できると考えたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究経費は主に次年度分も含めて消耗品(試薬、培養器具など)に使用する。
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Research Products
(2 results)