2014 Fiscal Year Research-status Report
軟部肉腫におけるSWI/SNF型クロマチン再構成因子発現および治療への応用
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26460435
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
孝橋 賢一 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (10529879)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 英崇 九州大学, 大学病院, 講師 (30404073)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SMARCB1/INI1 / SWI/SNF / 悪性ラブドイド腫瘍 / 類上皮肉腫 |
Outline of Annual Research Achievements |
INI1発現が完全欠失している臨床検体82例[悪性ラブドイド腫瘍(MRT)34例、近位型類上皮肉腫(P-ES)20例、古典型類上皮肉腫(C-ES)28例]、細胞株5株(MRT 3株、P-ES 2株、C-ES 1株)にて解析を行った。各蛋白発現のスコアの中央値は、BRG1(MRT:4.5, P-ES:3.0, C-ES:5.0)、BAF155(MRT:4.0, P-ES:0, C-ES:0)、BAF170(MRT:3.0, P-ES:5.5, C-ES:6.0)であった。統計学的にはBRG1(P-ES vs C-ES)でP=0.046、BAF155(MRT vs P-ES or C-ES)で各々P=0.002、0.032、また、BAF170(MRT vs C-ES)でP=0.004と有意差を認めた。また、予後という点では、P-ESのBAF170及びC-ESのBRG1に関して、高発現群のほうが低発現群よりも有意に予後不良であった(P=0.04、0.02)。以上より、INI1陰性腫瘍では、SWI/SNFクロマチン再構成因子複合体内の複数の蛋白発現が減弱していることが確認できた。それらは各腫瘍間で発現の割合が異なっており、腫瘍発生にかかわっている可能性が考えられた。また、鑑別診断のマーカーとして有用である可能性も考えられた。一般的に、これらの蛋白は単独で低発現となった時に予後不良であることが報告されているが、今回の検討では逆となっている。INI1に加えてもう1蛋白が低発現となると、SWI/SNFクロマチン再構成因子複合体自体の機能が低下する可能性も考えられ、追加の検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年計画のうち、INI1陰性腫瘍(悪性ラブドイド腫瘍、類上皮肉腫)に関する検討はおおむね終了しており、診断上の有用点や予後因子となりうる点などが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の結果を踏まえて、次年度は滑膜肉腫などの検討を考えている。滑膜肉腫に特異的なSS18-SSXがINI1発現を減弱させているとの報告もあり、その他のSWI/SNFクロマチン再構成因子との関連も興味深い。解析結果次第では予後因子や治療標的に結び付けることができると考えられる。
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Research Products
(9 results)