2014 Fiscal Year Research-status Report
ラット気管で特異的に発現する気管支敗血症菌遺伝子の機能解析
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26460525
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安倍 裕順 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (00379265)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 病原性遺伝子 / 百日咳菌 / 気管支敗血症菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的はラットへの感染過程で高発現する気管支敗血症菌に特異的な遺伝子の感染成立における役割を解明する事である。 今年度は遺伝子欠損によってラット気管への定着能が野生株に比べて低下する転写制御遺伝子を大量発現する気管支敗血症菌株を構築し、分泌タンパク質のプロファイルを野生株と比較した。野生株と分泌量が著しく異なるタンパク質の質量解析から、二種の転写制御遺伝子大量発現株は野生株に比べて培養上清中へのACT, FhaB, BipAなどの病原性因子およびFhaS, BatBなどのタンパク質の分泌量の著しい増加を誘導することを見いだした。一方、気管支敗血症菌に特異的な転写制御遺伝子の百日咳菌への遺伝子導入株を構築し、上記と同様の解析から二種の転写制御遺伝子の大量発現株は野生株に比べて培養上清中へのACTの分泌量の著しい増加が認められた。これらの結果は、気管支敗血症菌がラット気管定着時に百日咳菌にはみられない転写制御因子を病原性因子発現に利用していることを示唆しており、気管支敗血症菌と百日咳菌の宿主特異性や感染病態の違いが実際の感染宿主内での両菌種の遺伝子発現の違いに起因する可能性が考えられた。 今年度はさらに、感染ラットの気管で高発現する気管支敗血症菌特異的な鉄関連遺伝子欠損株を構築し、その感染定着能が野生株に比べて低下する事を見いだした。また、ボルデテラ属細菌で遺伝子欠損株および遺伝子大量発現株の構築を高効率で行うためにλ red recombinaseとPCR産物を用いた遺伝子改変法を開発した。同時に、百日咳菌から分離されたプラスミドpBP136、気管支敗血症菌のrRNA遺伝子のBBr01プロモーターとSD配列の組み合わせによりボルデテラ属細菌で安定的に遺伝子を高発現させるプラスミドベクターの構築を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット気管で高発現する28の気管支敗血症菌特異的な遺伝子を各々欠損した株を構築し、欠損変異株と野生株のラット気管への定着菌数との比較から変異株の感染能を評価する予定であったが、遺伝子欠損株の構築に時間がかかっており、全ての遺伝子欠損株の解析はまだ終了していない。しかし、既に感染能の低下が見られた転写遺伝子の解析を先に進めて、これらの転写制御因子のうち少なくとも二種は病原性遺伝子の発現分泌を亢進することを見いだした。さらに、気管支敗血症菌に特異的な鉄関連遺伝子も本菌のラット気管への感染能への関与が示すことができた。以上の結果は少なくとも遺伝子発現制御と鉄代謝の二つの気管支敗血症菌に特異的な機構が本菌の感染成立に寄与している可能性を示しており、感染成立に必要な本菌に特異的な分子の機能解析の手がかりが得られた事を意味している。さらに遺伝子欠損株と遺伝子導入株構築の効率を改善するための方法を開発終了しており、今後は変異株構築の解析が進むことが期待されることから達成度は概ね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、ラット気管で高発現する遺伝子欠損変異株の作成と作製した株のラット気管への感染能評価を続ける。ラット感染成立に関与する遺伝子がさらに見いだされれば、当初の計画に従い、遺伝子の機能解析を順次進める。さらに、平成26年度に構築したプラスミドベクターを用いてラット感染成立に関与する気管支敗血症菌特異的な遺伝子を高発現する百日咳菌株の作製を行う。作製した菌株をラットに径鼻的に接種し感染実験を行う。接種後、一定期間経過後に気管に定着した菌数を計測し、百日咳菌野生株の定着菌数と比較することで、各遺伝子高発現株の感染成立の評価を行う。百日咳菌にラット感染能を付与できる気管支敗血症菌特異的な遺伝子の同定を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
昨年末に論文を投稿したが、査読および受理に時間がかかり、今年度内の出版が間に合わなかった。そこで、計画を変更し論文投稿料として使用予定だった金額を次年度の実験計画に用いる物品費として使用したために、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の論文の査読は年度末に終了し受理の連絡も受け取っているので、未使用額と次年度の予算とあわせて論文投稿料として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] A novel small regulatory RNA enhances cell motility in enterohemorrhagic Escherichia coli.2014
Author(s)
Sudo N, Soma A, Muto A, Iyoda S, Suh M, Kurihara N, Abe H, Tobe T, Ogura Y, Hayashi T, Kurokawa K, Ohnishi M, Sekine Y.
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Journal Title
J Gen Appl Microbiol
Volume: 60(1)
Pages: 44-50
DOI
Peer Reviewed
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