2016 Fiscal Year Research-status Report
保健システム改革下の保健施設選択に関する実験的手法による研究
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26460592
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴沼 晃 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (90647992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神馬 征峰 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (70196674)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国民皆保険 |
Outline of Annual Research Achievements |
国民皆保険の推進により安価な保健サービスが普及すれば、従来は顕在化していなかった保健ニーズが掘り起こされ、住民の保健サービス選択にも影響を及ぼすことが予想される。国民皆保険制度の設計には、保健サービスの需要変化を予測することが欠かせない。カンボジアにおいては、貧困層をはじめ住民が広く保健サービスにアクセスできるように、「Community-based health insurance(CBHI)」や「Health Equity Fund (HEF)」などが整備されてきた。しかし、内戦後の保健サービス復興に数多くのNGOが主体的に関与したカンボジアでは、CBHIやHEFの担い手も地域により様々である。サービス提供方法や質も一様ではない。そのため、国民皆保険の実現に向けては、CBHIやHEFのサービス統合後の需要予測が課題になる。本研究は、民間保健施設数が計画を超えて増加し、需要予測の困難に直面しているカンボジアにおいて、現状の保健サービス選択に加えて潜在的な保健サービス選好を分析する。 平成28年度には、カンダール州カンダールストゥン郡において、小児疾病に際しての保健サービス選択及び選好について、離散選択実験及びインタビュー調査を640人の母親に対して実施した。データ収集及びクリーニングを完了し、分析の一部を行った。その結果、現状における保健サービス選択において民間保健施設を利用している母親は、公的保健施設を利用している母親と比べて、保健従事者の態度や施設の診察時間などを重視し、サービスの内容は重視していないことが分かった。また、発症から保健施設で診療を受けるまでの期間は、母親のリスク選好といった行動経済学要因が関連していることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
離散選択実験(DCE)設計・インタビュー調査設計を実施するために、5)DCE実施・インタビュー調査実施、6)サービスの質に関する調査、7)結果分析を行った。具体的には、カンダール州カンダールストゥン郡において、小児疾病に際しての保健サービス選択及び選好について、離散選択実験及びインタビュー調査を640人の母親に対して実施した。データ収集及びクリーニングを完了し、分析の一部を行った。現在、分析を引き続き進めるとともに、国際誌への投稿に向けた論文を執筆している。
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Strategy for Future Research Activity |
離散的選択実験(DCE)の結果分析を行い、子供が下痢症や発熱の症状があった場合の母親の潜在的な保健サービス選好について解析結果を論文にまとめて国際誌に投稿する。また、母親のリスク選好や時間選好が母子保健及び小児保健における実際の施設選択や受療及び受診タイミングにどのような関連があるかについて分析し、同じく解析結果を論文にまとめて国際誌に投稿する。
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