2016 Fiscal Year Research-status Report
ヘルスサービスリサーチ基盤型地域医療リーダー養成プログラムの開発研究
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26460605
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
貝沼 茂三郎 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30361968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 素文 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 教授 (00291518)
馬場園 明 九州大学, 医学研究院, 教授 (90228685)
菊川 誠 九州大学, 医学研究院, 講師 (60378205)
永田 雅治 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70645639)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地域医療 / リーダー養成 / 早期体験実習 / 参加型地域医療実習 |
Outline of Annual Research Achievements |
①低学年次での早期体験実習:2年生次に従来2日間かけて行っている学外見学・体験実習の中に少人数(8名)の実習班を作り、リハビリ実習を中心とした地域医療の現場で参加型のプログラムを作成し、実習を行なった。また「地域医療の現場を体験しよう」として八女地区の公立病院、緩和ケア病院の見学、訪問看護の同行を含むプログラムを1回実施し、2年生3名が参加した。 ②高学年次での地域医療実習:5年生全員(101名)が1週間の地域医療実習を行い、実習前後での地域医療に関する意識の変化について検討した。その結果、他職種の業務内容や連携、訪問診療・訪問看護、コミュニケーション能力、地域医療を担う意欲や使命感等について有意に向上していた。また地域医療実習後のレポートでリーダー像について記載があったものは34/101(33.7%)だった。その内訳は①長期的視点:14/34(41.2%)②チームビルディング:17/34(50%)③診療能力:11/34(32.4%)等だった。6年次における4週間の地域医療実習では3名がそれぞれ京築、八女、有明地区の病院で実習を行い、地域診断も行った。 ③Faculty Development(FD):5年生の地域医療実習後におけるアンケート結果から、施設毎の実習で参加型プログラムの実施にばらつきがあったことから参加型地域医療実習を充実させるための多施設・多職種参加による指導医講習会を行なった。16施設36名が参加し、問題点ならびに解決策についてワークショップを開催した。 ④研究会ならびに研究成果の発信:「地域医療に貢献する医師をより多く養成するために~特に卒前教育で出来ること~」をテーマとして研究会を実施した。九州沖縄地区の各大学から計50名が参加し、医学生、教官の立場からそれぞれ発表・議論(演題数11)した。また地域医療を担うリーダーに求められるコンピテンシー(能力)に関する探索的研究について国内外の学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①低学年次での早期体験実習:2日間の早期体験実習の中で、少人数での実習班が2班のみであり、十分な体験ができていない。また実習先として重症心身障害児(者)施設、精神病院などの特殊な施設での見学が中心であったことから、地域の現状について実習を通して感じ、そこから地域医療を担う意欲や使命感を獲得させるという観点からは不十分ではないかと考える。また「地域医療の現場を体験しよう」として選択実習を行ったが、わずか2年生3名の参加であったことから、より早期から地域医療の魅力を伝えるプログラムの作成が必要であると考える。 ②高学年次での地域医療実習:5年次実習終了後のレポートではリーダー像に関して記載したものが約3割程度だった。今回の実習前後での意識調査の結果では“地域医療を担う意欲や使命感を獲得する”は有意差があったが、“地域医療を担う医師に魅力を感じる”や“地域医療に従事したい”に関しては実習前後での変化は見られなかった。実習前のオリエンテーションでの動機付けや、現場での実習をより参加型にし、地域の魅力を伝えることができるプログラムに改訂していく必要があると考える。また6年次における4週間の実習では、5年次での実習プログラムに加えて地域診断を行ったり、様々な場面で同じ患者の経過を繰り返し観察できるような実習プログラムに改訂したが、実習終了後のレポートにはリーダー像に関する記載を求めていなかった。今後は6年次の実習終了後にも5年生と同じレポート作成を課し、5年次との違いを評価する必要があると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.効果検証 平成28年度に行った試行プログラムの問題点を修正した改訂版のプログラムに基づいて、各協力施設での地域医療実習を行う。また実習後に再度ポートフォリオを用いてプログラムの評価を行い、最終的な地域医療リーダー養成プログラム案を作成する。具体的な改訂版のプログラムの内容としては①低学年次での早期体験実習:少人数班を増やし、これまでの特殊な施設に加えて高学年での実習協力施設での実習を早期から行い、評価を行う。②高学年次における地域医療実習:オリエンテーションでの地域医療のリーダー像に関する動機付けの工夫、指導医講習会で抽出された問題点ならびに解決策を各施設で多職種のスタッフと情報を共有することで、地域の魅力を伝えることが出来るより参加型の実習プログラムを作成する。また6年次の実習終了後にリーダー像に関するレポートを提出してもらい、5年次の結果と比較検討する。 2.研究成果の発信 得られた知見・成果をまとめ、シンポジウムを開催し、全国に発信する。また、国際医学教育雑誌に投稿し世界にも広く発信する。
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Causes of Carryover |
九州大学での卒前におけるリーダー養成地域医療実習の取り組みについて広く発信させるためのシンポジウムを開催するため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会雑誌論文投稿ならび九州大学での卒前におけるリーダー養成地域医療実習の取り組みについて広く発信させるためのシンポジウムを開催し、そのシンポジウムにかかる人件費、旅費などに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)