2014 Fiscal Year Research-status Report
子宮頸部固有上皮型腺癌、胃腸型腺癌、前癌病変の病理診断基準と検査診断法の開発
Project/Area Number |
26460673
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
太田 浩良 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (50273107)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 子宮頸部分葉状頸管腺過形成 / 子宮頸部腺癌 / 胃型腺癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は固有上皮型子宮頸部腺癌、胃・腸型子宮頸部腺癌およびその前癌病変の病理診断マーカーの探索を中心に以下の研究を展開した。 手術摘出された子宮頸部分葉状頸管腺過形成(LEGH)、HIK1083陽性の胃腺粘液細胞への分化を示す子宮頸部腺癌(胃型腺癌)およびHIK1083陰性の子宮頸部腺癌例につき、ホルマリン固定、パラフィン包埋組織を用いて、胃・腸型上皮のマーカーと子宮頸部固有上皮のマーカーの免疫染色を行い、免疫表現型分類を試みた。消化管において、胃表層粘液細胞に発現がみられるTFF1と腺粘液細胞に発現がみられるTFF2がLEGHおよび胃型腺癌に発現していた。これらの病変において、TFF1はHIK1083陰性の細胞にも発現がみられ、一方、TFF2陽性細胞の局在はHIK1083陽性細胞の極在に概ね一致していた。また、LEGHおよび胃型腺癌には腸上皮細胞マーカーのMUC2およびCDX2の発現がみられたことから、LEGHおよび胃型腺癌は胃および腸上皮への分化を種々の程度に示す胃・腸型の表現型を示す病変と考えられた。一方、胃粘液細胞のムチンコア蛋白とされるMUC5ACとMUC6は正常子宮頸管粘液細胞にも発現がみられるため、これらのムチンコア蛋白の発現のみから、胃型形質の発現の評価は困難であると考えられた。TFF1およびTFF2がLEGHや胃型腺癌において発現していることが確認されたことから、腟分泌液中のTFF-ELISA測定による、LEGHや胃型腺癌の診断の可能性が示された。一方、固有頸管上皮に発現している、PAX8(ミュラー管起源の上皮細胞の核に発現)やエストロゲン受容体はHIK1083陰性の子宮頸部腺癌においても発現頻度が低く、固有頸管上皮の表現型マーカーについては更なる探索が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.子宮頸部分葉状頸管腺過形成(LEGH)および子宮頸部胃・腸型腺癌の表現型検索用の組織診断マーカーが定まり、より客観的に表現型に基づく亜分類を行うことが可能となった。 2.子宮頸管分泌中のTFF-ELISA測定のLEGHおよび子宮頸部胃・腸型腺癌診断への応用の可能性が示された。
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Strategy for Future Research Activity |
1.子宮頸部腺癌の症例収集を更に進め、子宮頸部腺癌の診断およびその免疫表現型に基づいた亜型分類に有用な免疫組織診断マーカーの精度と新規マーカーの探索を継続する。 2.子宮頸部腺癌の免疫表現型と組織像を対比し、組織亜型の組織学的特徴および臨床病理学的特徴を検証する。 3.子宮頸部腺癌の免疫表現型、TFFの免疫組織化学的発現様式と子宮頸部分泌物中のTFF値の相関を調べ、子宮頸部分泌物中のTFF測定の、子宮頸部腺癌の診断およびその亜型分類への応用の可能性を検証する。
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