2015 Fiscal Year Research-status Report
サイトメガロウイルスに対する細胞性免疫能測定検査の開発と病態解明
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26460682
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
錫谷 達夫 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40196895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 敬広 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (00708745)
腰塚 哲朗 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20416267)
生田 和史 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (60512184)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サイトメガロウイルス / 細胞性免疫 / 検査法 |
Outline of Annual Research Achievements |
一昨年の研究成果より、サイトメガロウイルス(CMV)に特異的なCD4陽性細胞あるいはCD8陽性細胞の活性を測定する方法を検討した。抗原として精製したCMV粒子を用い、被験者の末梢血を24時間刺激後、培養上清に放出されたインターフェロン―γ(IFN-g)をELISAで定量したところ、CMV既感染者では抗原量に比例したIFN-gの遊離が認められた。一方、CMV非感染者の末梢血ではIFN-gの遊離は検出できなかった。市販のCMVタンパクであるpp65を抗原として用いた場合、高濃度ではCMV非感染者でも非特異的なIFN-gの遊離が認められたが、抗原の濃度を至適化することによって非特異的な反応を起こさずに、被験者のCMVに対する特異的な細胞性免疫能を測定できる検査が確立できた。抗原調整の簡便さからpp65を用いたCMV特異的な細胞免疫能を測定する検査法を確立した。 この検査で測定できるCMVに対する細胞性免疫能が、その被験者の細胞性免疫能全般の指標と出来るか否かを検討した。およそ40名の被験者から採血し、その末梢血を用いてCMVに対する細胞性免疫能を測定後、被験者に8週間にわたってヨーグルトを連日摂取していただいた。その後、採血してCMVに対する細胞性免疫能を測定したところ、60%程度の人で免疫能の増強が認められた。この結果から、CMV感染者(日本人の80%程度)については免疫の状況を客観的に判断する検査として本研究で開発したCMVに対する細胞性免疫検査が利用可能であることが予想できた。 最終年度である本年は、抗原刺激によって末梢血から遊離されるIFN-gに加え、IL-4を測定することによって、細胞性免疫と液性免疫のバランスを測定できる検査を確立し、再度、被験者の血液を用いてその妥当性を評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定ではCMVに対する細胞性免疫能を測定する検査の確立を計画していた。最初の2年でこの検査は確立でき、最終年度には当初計画していなかった液性免疫能の測定も検討できることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、pp65を抗原として末梢血を刺激することによって培地中に遊離されるIL-4を測定する。IL-4は形質細胞からの抗体産生を促すサイトカインであり、抗原特異的な抗体産生を定量化できる検査となりうる。 この検査が確立できた場合は再度、ヨーグルト摂取者やステロイドの投与を受けている被検者の血液を用いて免疫能全体を類推できる新しい検査法の確立を試みる。
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Causes of Carryover |
最終年度となる平成28年度に本研究で確立した検査を用いて臨床研究を行うことを計画したため、予算を可能な限り持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
多数を検査を行うため消耗品並びに実験補助の人件費を計上した。
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