2014 Fiscal Year Research-status Report
ベトナム北部地域における男性のヒトパピローマウイルス感染症・関連癌の疫学
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26460743
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石崎 有澄美 金沢大学, 医学系, 助教 (30456420)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒトパピローマウイルス感染症 / 男性 / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景と目的】ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は代表的な性感染症である。特にHPV16/18は子宮頚癌の主原因である。現在、女性での2種類のHPV感染予防ワクチン(HPV16/18の2価とHPV16/18/6/11の4価)の有用性は確立している。一方、HPVは男性の癌(中咽頭癌、肛門周囲癌、陰茎癌など)の原因ともなり、男性でのHPV感染予防も重要である。本研究では、男性でのHPVワクチン費用対効果の評価及び感染予防対策の立案、感染者のフォローアップ体制の確立を目指す。H26年度はベトナム人男性を対象にHPV感染症の疫学調査を行った。 【結果】性感染症の症状を持つベトナム人男性197名(平均32.7才)で、尿道ぬぐい/陰茎ぬぐい/尿の3検体を採取した。197名の内51名(25.9%)でHPVが陽性であった。HPV52とHPV81の検出頻度が最も高く(共に21.6%)、次いでHPV18(17.6%)、HPV11(15.7%)、HPV6(11.8%)が検出された。HPV16の頻度は5.9%と低かった。陰茎ぬぐい検体からのHPV検出率(22%)は、尿検体(3.6%、p<0.001)および尿道ぬぐい検体(10.2%、p=0.0014)よりも高かった。HPV感染危険因子として、性交渉開始年齢22歳未満、過去6カ月に性交渉を持った人数が4人以上、および尿道のクラミジア感染がないこと、が示された。 【結論】ベトナム人男性では、HPV52が最も高頻度に検出された。これは、我々が以前に行った子宮頚部組織検査が正常のベトナム人女性での結果と同様であった。しかしながら、女性で2番目に高かったHPV16の頻度は、男性では低かった。女性ではあまり見られなかったHPV6/11の頻度は高かった。ベトナム人男性では現行のワクチンではなく、HPV52を含めた9価のワクチンが望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベトナム人男性からの検体採取および解析は順調に実施されている。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)6か月ごとに追跡調査を予定しているが、追跡調査ができた人数は目標の200名には達していない。調査の期間を6か月延長する。 (2)HPV関連癌患者数が少なく、目標の検体数に達していないため、検体採取期間を6ヶ月延長する。
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Causes of Carryover |
HPV関連癌検体数が十分に集まらず、試薬などの物品の支出が計画よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度も期間を延長して検体採取を継続する予定であり、そのために必要な物品費として使用する。
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