2015 Fiscal Year Research-status Report
ベトナム北部地域における男性のヒトパピローマウイルス感染症・関連癌の疫学
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26460743
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石崎 有澄美 金沢大学, 医学系, 助教 (30456420)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒトパピローマウイルス感染症 / 男性 / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景と目的】ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は代表的な性感染症である。現在、女性へのHPV予防ワクチンの有用性は確立している。一方、HPVは男性の癌(中咽頭癌、肛門周囲癌、陰茎癌など)の原因ともなり、男性でのHPV感染予防も重要である。本研究では、男性へのHPV感染予防対策の立案・感染者の有効なフォローアップ体制の確立を目指す。 【結果】尿路感染症症状を持つベトナム人男性延べ487名から、尿道ぬぐい/陰茎ぬぐい/尿/口腔洗浄の4検体を採取した。このうち192名でHPVの初回解析が終了した。また、115名において2回、27名において3回、5名において4回の6か月ごとのフォローアップが終了した。現在これらの検体のHPV解析、HPV16型のE6/E7亜型同定、尿沈渣細胞診を行っている。 初回解析が終了した192名のうち25.0%がHPV陽性(HPV81型 22.9%、HPV52型 18.8%、HPV18型 16.7%、HPV16型 6.3%)であった。33.3%が異なるHPV型に重複感染しており、64.6%は癌化を高率に起こすハイリスク型HPVに感染していた。陰茎ぬぐい検体からのHPV検出率は21.0%と、尿検体(3.1%、p<0.001)・尿道ぬぐい検体(9.4%、p=0.002)よりも高かった。2013年に代表者らが行ったベトナム人女性性産業従事者を対象とした調査では、HPV52型次いでHPV16型が多く検出されており、今回の男性での調査により、HPVの流行状況は同地域に住む男女間において異なることが明らかとなった。また性交渉開始年齢が低いほどHPV感染リスクが高かった。 【結論】ベトナム人男性のHPV感染予防対策には、現行のHPV6/11/16/18型の4価ワクチンのみでは不十分であることが示唆された。また、若い男性を対象としたHPV感染症に関する啓蒙が重要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
尿路感染症症状をもつ男性を対象とした継時的検体採取および解析は順調に実施されている。ただし、HPV関連癌患者数は目標検体数に比しやや少ない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、尿路感染症症状をもつ男性を対象とした経時的検体採取および解析を行う。 HPV関連癌患者検体数を増やすよう努力するとともに、固定した尿沈渣細胞の細胞異形成の程度とHPV感染率ならびに検出されるHPV遺伝子型との相関を検討する。
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Research Products
(2 results)