2015 Fiscal Year Research-status Report
網膜情報の活用による認知症発症リスク評価に関する研究
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26460791
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Research Institution | 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病予防健診部・健康開発 |
Principal Investigator |
北村 明彦 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病, その他部局等, 特別研究員 (80450922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木山 昌彦 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病, その他部局等, その他 (10450925)
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20375504)
川崎 良 公益財団法人大阪府保健医療財団大阪がん循環器病予防センター(予防推進部・循環器病, その他部局等, その他 (70301067)
今野 弘規 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90450923)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 要介護認知症発症リスク / 網膜情報の定量化 / 網膜細動脈狭細 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、認知症の予防対策の推進に資するため、眼底の網膜情報を用いた認知症発症リスクの評価に関する研究を行う。認知症発症以前に撮影された眼底写真をもとに、眼底画像解析システムを用いて、複数の網膜情報(眼底の網膜動静脈径および動静脈比、ドルーゼンの有無等)を定量化し、コホート内症例対照研究にて、認知症の発症に関わる網膜情報指標を検討する。 平成27年度は、対象集団である秋田農村の1999~2013年、茨城農村の1999~2005年の認知症新規認定者(介護保険認定に係る主治医意見書にある「認知症高齢者の日常生活自立度」がIIa以上かつ要介護度Ⅰ以上の者)のうち、1983-2004年の循環器健診にて眼底検査を受けた456人と、地域、性、年齢、健診受診年をマッチングさせた912人の対照群(計1368人)のデジタル化した眼底画像全例の網膜動静脈径および動静脈比の定量化が完了した。さらに、ドルーゼンの1次スクリーニングが完了し、ドルーゼン有りまたは疑い、無し、判定困難に分類した。引き続き、ドルーゼン有りまたは疑い例に対して、半定量化を進める予定である。 また、本研究に関連する分析として、秋田農村において1999-2014年に要介護認知症を発症し、認知症発症前の1983-2004年に循環器健診を受診した351例と対照702例との間でScheie分類に基づく細動脈狭細(Ⅰ度以上)の要介護認知症発症リスクを条件付きロジスティック回帰分析により、過体重、高血圧、耐糖能異常、脂質異常症、現在喫煙、要介護認知症発症前の脳卒中発症の有無を調整して算出した結果、細動脈狭細無し群に対する有り群での要介護認知症発症の多変量調整オッズ比は、1.5(95%CI: 1.1-2.1)と有意に高値を示した。すなわち、網膜細動脈の狭細は、脳卒中発症と独立して要介護認知症の発症に関連すること可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
眼底画像全例の網膜動静脈径および動静脈比の定量化が完了した。ドルーゼンの1次スクリーニングが完了し、ドルーゼンの半定量化を進める段階に到達した。 さらに、Preliminaryな分析により、定性的指標である網膜細動脈狭細が脳卒中発症と独立して要介護認知症の発症リスクとなることが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
ドルーゼンの半定量化については、2016年中に完了させ、既に完了した網膜動静脈径・動静脈比の定量化結果と合わせて、最終的なデータセットを完成させる。2017年1~2月に集中的に統計解析を行い、当初の目的である認知症の発症に関わる網膜情報指標を明らかにする。また、得られた成果を学会及びHPにて公表する。
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Causes of Carryover |
ドルーゼンの半定量化作業の若干の遅れのため、この作業に係る旅費、人件費、データセット構築、および統計解析に必要な額の執行が出来なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に持ち越し、ドルーゼンの半定量化作業の補助員を増員するなどして使用する。
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Research Products
(1 results)