2014 Fiscal Year Research-status Report
IFNによるもやもや病感受性遺伝子の発現機構解析と脳血管疾患の予防医療の確立
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26460801
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
人見 敏明 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90405275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小泉 昭夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50124574)
小林 果 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70542091)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | もやもや病 / RNF213 / インターフェロン / R4810K / 血管内皮細胞 / 疾患iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
もやもや病は、若年性脳卒中の主要な原因のひとつである。近年、我々は東アジアに共通するもやもや病感受性遺伝子mysterin(RNF213)および創始者変異R4810Kを同定した。疾患iPS細胞から得られた結果から、R4810Kは血管内皮細胞で細胞分裂異常やアポトーシスを起こすことが示唆されたが、日中韓で1500万人以上保因者が存在することからR4810Kがもやもや病を引き起こすためには、環境要因の関与が必要である。 本研究では、感染症がもやもや病の環境要因であるという仮説を、①Mysterin発現活性化因子のスクリーニングおよびインターフェロン(IFN)によるmysterin遺伝子発現解析、②IFN処理したもやもや病患者iPS細胞由来血管内皮細胞(iPSECs)を用いたmysterin R4810K過剰発現による細胞分裂異常およびアポトーシスの検討、③R4810Kによる他分子とのcross talkについて検討することで証明し、脳血管疾患に共通した脳血管特異的な機能上、構造上の分子メカニズムを解明し、もやもや病をはじめとした脳血管疾患の新たな予防医療の確立を目指す。 感染症に関連するサイトカインであるTGF-β、IL-1β、VEGFおよびPDGF-BBの4つの血管形成因子とIFNα、IFNβ、IFNγの3つの抗血管形成因子によるmysterin遺伝子発現への影響を評価した。ヒト臍静脈内皮細胞(HUVECs)を用いてTube formation assayおよびMigration assayによる血管形成能やM期関連因子Securin発現を検討した。今後は、IFNと関連したmysterin R4810Kの機能を明らかにすることによって、感染症がもやもや病の環境要因であることを証明し、脳血管疾患の予防医療の確立を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト子宮頸癌細胞HeLa細胞およびヒト臍静脈内皮細胞HUVECsを用い、TGF-β、IL-1β、VEGFおよびPDGF-BBの4つの血管形成因子とインターフェロン(IFN)α、IFNβ、IFNγの3つの抗血管形成因子によるmysterin遺伝子発現への影響を評価した。7因子のなかで、HeLa細胞ではIFNγのみが、HUVECs細胞ではIFNβおよびIFNγがmysterinの発現を転写レベルで増加した。更にHUVECsにおいて、mysterin遺伝子プロモーター上のSTAT1結合部位を介して、IFNβによるmysterin発現増加が見られた。Tube formation assayおよびMigration assayによってIFNβが血管形成能や細胞運動性を阻害することがわかった。またRNAi法を用いたmysterin発現抑制によってIFNβのtube formationやmigrationの阻害が対照と同程度まで回復した。以上の結果より、mysterinの過剰発現が抗血管形成作用を有することが判明した。 IFNによるmysterin遺伝子発現解析、IFNβによるmysterin遺伝子プロモーターへの影響、mysterin発現活性化因子のスクリーニングの検討およびmysterin siRNAによるIFNβによる血管内皮機能の回復の検討より本年度の研究目的に達成していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で得られたIFNβによるmysterin遺伝子発現解析の結果をもとに、もやもや病患者と対照者由来のiPS細胞から分化誘導した血管内皮細胞iPSECsにIFNβ処理を行い、R4810Kによる影響を、RNAレベルでのmysterin発現活性化、共焦点レーザー顕微鏡によるM期の遅延、Mitotic failureの細胞学的観察、FACSによるアポトーシスの増加について比較検討を行う。更に、IFN誘導性mysterin 野生型およびR4810K過剰発現によるアポトーシスやシグナル伝達に関わるcross-talk分子の同定を行う。
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