2014 Fiscal Year Research-status Report
性成熟前におけるネオニコチノイド類の精巣毒性の検討
Project/Area Number |
26460809
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
寺山 隼人 東海大学, 医学部, 講師 (00384983)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂部 貢 東海大学, 医学部, 教授 (70162302)
遠藤 整 東海大学, 医学部, 講師 (10550551)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | マウス / ネオ二コチノイド / 精巣 |
Outline of Annual Research Achievements |
毒性の強い有機リン系農薬の代替として、ネオニコチノイド類農薬は昆虫のニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)にアゴニスト作用によって強い毒性を発揮するが、ヒトには安全であるとされ、世界中で汎用されている。しかし、最近、ヒトで農薬散布後に健康被害例が報告されてきており、実験動物においてもネオニコチノイド類を大量投与すると神経や筋に関連する広範な症状が出現する事がわかってきた。さらに、nAChR は神経系以外に免疫系や生殖器系などの多臓器にも発現しており、性成熟後の精巣での障害が報告されているが、性成熟期前の精巣にネオニコチノイド類が影響を与えることを検討した報告はない。27年度は性成熟期前の雄マウスにネオニコチノイド類を投与する前段階として、性成熟後の雄マウスにネオニコチノイド系農薬であるアセタミプリドを投与し、精巣に与える影響を検討した。10週齢A/Jマウスを用いて、アセタミプリドを水道水に溶かし自由飲水(無毒性量の100倍量/day)させる実験群および水道水のみ自由飲水させるコントロールの2群に分け、3日および7日後に安楽死させ、精巣および脳を深麻酔下で摘出し、形態学的および分子生物学的に評価した。3日および7日後の体重は実験群で有意に減少したが(p<0.05)、精巣の組織学的観察では特に変化はなかった。マイクロアレイによる遺伝子発現については精巣では薬剤代謝系やステロイド合成系関連遺伝子の変化が見られた。アセタミプリド曝露は形態学的変化を誘導しない投与量でも、遺伝子学的には様々な変化を及ぼすことが示唆された。したがって、アセタミプリド曝露は精巣内環境に影響を与える事がわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
性成熟期前の雄マウスにネオニコチノイド類を投与する前段階として、性成熟後の雄マウスにネオニコチノイド系農薬であるアセタミプリドを投与し、精巣に与える影響を検討した。結果、ステロイド合成系や薬剤代謝系遺伝子が変化し、精巣内環境に影響を与える事がわかった。性成熟期前の雄マウスで検討する因子が多岐にわたり定まらない事から、今回の結果はネオ二コチノイドを今後検討する上で有用だと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ネオ二コチノイド類はアセタミプリドだけではなく、ジノテフラン、イミダクロプリド、クロチアニジンなどが存在する。本年度の結果が他のネオ二コチノイド類にも共通する現象なのかと検討する必要がある。また、今回の結果で示された遺伝子が変化するメカニズムがわかっていない。来年度は以上の事踏まえ、検討する必要がある。
|
Causes of Carryover |
研究の進展に伴い、当初予想し得なかった新たな知見が得られたことから、その知見を使用し十分な研究成果を得るために、当初の研究計画を変更する必要が生じたことにより、その調整に予想外の日数を要したため年度内に完了することが困難となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな知見に含めた年次計画に則り、適正に支出します。
|
Research Products
(14 results)
-
-
-
-
-
-
-
-
-
[Presentation] インターロイキン-35 による精巣免疫特権の維持2014
Author(s)
寺山隼人, 善本隆之, 内藤宗和, 平井宗一, 曲寧, 畑山直之, 林省吾, 倉升三幸, 水戸部佳奈, 古澤純一, 溝口出, 毛塚剛司, 後藤浩, 金沢輝久, 坂部貢, 伊藤正裕
Organizer
第92回東京医科大学・東京薬科大学免疫アレルギー研究会
Place of Presentation
東京医科大学病院自主自学館
Year and Date
2014-11-18
-
[Presentation] 低用量フタル酸エステル曝露による自己免疫性精巣炎への影響2014
Author(s)
寺山隼人, 坂部貢, 平井宗一, 内藤宗和, 曲寧, 倉升三幸, 小川夕輝, 畑山直之, 林省吾, 古谷祐生子, 金沢輝久, 伊藤正裕
Organizer
第21回日本免疫毒性学会学術年会
Place of Presentation
徳島文理大学国際会議場
Year and Date
2014-09-11 – 2014-09-12
-
-
-
-
[Presentation] Contribution of IL-35 to maintaining the testicular immune privilege2014
Author(s)
Hayato Terayama, Shuichi Hirai, Takayuki Yoshimoto, Munekazu Naito, Miyuki Kuramasu, Ning Qu, Naoyuki Hatayama, Teruhisa Kanazawa, Kaori Suyama, Kou Sakabe, Masahiro Itoh
Organizer
34th Annual Meeting of the American Society for Reproductive Immunology
Place of Presentation
Allegria Hotel (New York)
Year and Date
2014-06-02 – 2014-06-05