2014 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児呼吸器感染症ウイルスの分子疫学ならびに予防・治療をめざした基礎研究
Project/Area Number |
26460819
|
Research Institution | Osaka City Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
改田 厚 大阪市立環境科学研究所, その他部局等, 研究員 (50372131)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 誠司 大阪市立環境科学研究所, その他部局等, 研究員 (20649008)
奥 勇一郎 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10456832)
久保 英幸 大阪市立環境科学研究所, その他部局等, 研究員 (20321937)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 分子疫学 / ウイルスゲノム / パラインフルエンザウイルス / ライノウイルス / エンテロウイルス D68 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳幼児呼吸器感染症の主原因はウイルス感染である。申請者らの先行研究において、6歳未満の乳幼児では、ライノウイルス(HRV)、パラインフルエンザウイルス(HPIV)が全検出ウイルスの40% 近くを占めていた。ウイルス性呼吸器感染症の効果的な予防・治療のためには、これらウイルスについて、疫学情報の蓄積、ウイルス学的解析の必要性が高いことを示した。 本研究では、国内における疫学情報、陽性株のウイルスゲノム情報が少ないHRV、HPIV1~4型 に焦点をあて、解析をおこなった。2010年~2013年の期間に採取された10歳未満の呼吸器感染症由来 1,620検体について遺伝子検査をおこなった結果、HRV (542, 33.5%), HPIV-1 (45検体、2.8%)、HPIV-2 (12, 0.7%), HPIV-3 (160, 9.9%), HPIV-4 (24, 1.5%) が検出された。特に、HRV、HPIV-3 について、乳幼児呼吸器感染症の主要病原体の1つであることを示した。月別ウイルス陽性率を指標として、各ウイルスの動向を解析した結果、HPIV-3 は、4~6月を中心とした春季に急激な陽性率増加が認められた。一方、HRVは、夏に検出率低下が認められたが、他の時期は通年で検出を認めた。 調査期間中の2013年には、呼吸器感染症の原因であるエンテロウイルス D68型 (EV-D68)の2010年流行以来の再出現を認めた。アメリカでは、2014年にEV-D68の流行ならびに急性弛緩性麻痺患者からの検出が報告されている。本研究において、3株のEV-D68 の全長ウイルスゲノムを決定し、世界での報告株との比較、解析をおこなった。現在、HRV、HPIV-3、に加え、ヒトメタニューモウイルスについてもウイルスの全長ゲノム解読をおこない、分子疫学解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度当初に予定していた対象ウイルスの流行解析、陽性株の分子疫学解析、ウイルスゲノム決定は、順調に進展した。また、アメリカや欧州で突発的な流行が認められ、公衆衛生上、解析が重要と考えられたエンテロウイルス D68型 (EV-D68)について、保持していた陽性株の解析を急遽実施し、得られた成果を国際学会で発表した。現在、その内容をまとめ、学術誌へ投稿準備中である。一方、EV-D68 解析実施に伴い、予定していた in vitro ウイルス増殖評価モデル構築について、進捗がやや遅れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
解読したウイルスゲノム情報と臨床検体中のウイルス核酸を用いることで、感染性ウイルス粒子を人工的に作製することが可能となった。そこで、蛍光色素を組み込んだウイルス粒子を作製し、培養細胞を用いた in vitro ウイルス増殖評価モデル構築をおこなう。各ウイルスに高い感受性を示す複数の培養細胞株を用いて、効率的に感染実験をおこない、増殖評価モデルの構築を推進する。また、HPIV-3 や HRV、RSウイルスやヒトメタニューモウイルスについても、全長ゲノム解読を進めることで、ウイルス株の進化解析、国内外検出株との比較、解析をおこなう。
|
Causes of Carryover |
突発的に流行が認められたエンテロウイルス D68型の解析をおこなったことから、研究内容の一部が計画よりもやや遅れた。そのため、関連物品の購入を次年度に変更した。また、成果発表した国際学会が次年度(4月)開催であったことから、関連費用の精算を次年度に実施した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
蛍光色素を用いた in vitro ウイルス複製評価系の構築に関連する試薬代、ならびに抗ウイルス活性物質探索のための化合物ライブラリー購入に使用する。また、成果報告のための学会参加関連費用(国内、海外)に使用する。
|
Research Products
(6 results)
-
[Journal Article] Associations between co-detected respiratory viruses in children with acute respiratory infections2014
Author(s)
Atsushi Kaida, Hideyuki Kubo, Koh-ichi Takakura, Jun-ichiro Sekiguchi, Seiji P Yamamoto, Urara Kohdera, Masao Togawa, Kiyoko Amo, Masashi Shiomi, Minori Ohyama, Kaoru Goto, Atsushi Hase, Tsutomu Kageyama, Nobuhiro Iritani
-
Journal Title
Japanese Journal of Infectious Diseases
Volume: 67
Pages: 469-475
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
[Presentation] Reemergence of enterovirus D68 in 2013, Osaka, Japan2015
Author(s)
Atsushi Kaida, Seiji P Yamamoto, Nobuhiro Iritani, Urara Kohdera, Masao Togawa, Kiyoko Amo, Toshinori Nishigaki, Tsutomu Kageyama, Hideyuki Kubo
Organizer
31st Clinical Virology Symposium
Place of Presentation
デイトナビーチ(アメリカ)
Year and Date
2015-04-27
-
-