2015 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児呼吸器感染症ウイルスの分子疫学ならびに予防・治療をめざした基礎研究
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26460819
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Research Institution | Osaka City Institute of Public Health and Environmental Sciences |
Principal Investigator |
改田 厚 大阪市立環境科学研究所, その他部局等, 研究員 (50372131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山元 誠司 大阪市立環境科学研究所, その他部局等, 研究員 (20649008)
奥 勇一郎 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (10456832)
久保 英幸 大阪市立環境科学研究所, その他部局等, 研究員 (20321937)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 呼吸器感染症 / 乳幼児 / エンテロウイルスD68型 / ゲノム解析 / 分子疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳幼児呼吸器感染症の主原因はウイルス感染である。毎年、定期的に流行が認められるウイルスが多い中、突発的に出現・流行するウイルスがある。今年度は、2015年に国内において、急激な検出増加と再流行を認めたエンテロウイルスD68型に焦点を当て、解析をおこなった。2015年4月~2016年3月の期間に大阪市内で採取された10歳未満の呼吸器感染症患者由来324検体の遺伝子検出・型別の結果、7検体 (2.2%) がEV-D68陽性であった。主症状は、下気道炎であり、陽性検体は、すべて6~8月に検出された。PCRで増幅が可能であった2株については、ほぼ完全長のウイルスゲノム配列を、3株は抗原性を反映するVP1領域を決定し、過去検出株、世界各地の報告株との比較解析をおこなった。VP1領域を用いた系統樹解析の結果、大阪市で検出された2015年株は、同地域の2010年、2013年検出株とは、それぞれ異なるクラスターを形成した。2015年の エンテロウイルスD68型の急激な感染拡大は、過去検出株とは異なる遺伝グループによって引き起こされた可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
欧米で流行が認められ、公衆衛生上、重要であると考えられたエンテロウイルスD68型の国内感染拡大が2015年に突発的に発生した。複数の陽性株を検出していたことから、急遽、陽性株のゲノム解析を優先させた。そのため、当初予定していた研究内容に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
解読したウイルスゲノム配列を用いて、複数種の呼吸器感染症ウイルスについて蛍光色素を組み込んだウイルス粒子を作成する。各ウイルスについて、既知の高感受性細胞株を用いて感染実験をおこなう。ウイルス複製効率について、蛍光強度を指標として評価することで、効率的な抗ウイルス活性物質のスクリーニング系を構築する。 一方、ゲノム解析が進んだヒトパラインフルエンザウイルス1型、2型について、分子疫学解析結果の公表をめざす。
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Causes of Carryover |
突発的な流行が認められたエンテロウイルスD68型の解析を予定外に実施したことから、計画内容に一部、遅れが生じ、関連物品の購入を次年度に変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
蛍光色素を組み込んだウイルス粒子作製、in vitro 抗ウイルス活性物質スクリーニング系構築に関連する試薬、成果報告(論文報告、学会発表)に使用予定である。
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Research Products
(2 results)