2014 Fiscal Year Research-status Report
大規模コホート17年追跡での高尿酸血症に関する飲酒許容量のベンチマークドース算出
Project/Area Number |
26460825
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
渡邉 美幸 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 技術職員 (70571355)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
能川 和浩 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00612194)
諏訪園 靖 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (90302546)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 血清尿酸値 / 飲酒量 / ベンチマークドース / 縦断調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
血清尿酸値の上昇について、痛風、尿路結石症、腎臓病、そして心血管疾患である、冠動脈疾患や脳卒中との関連が明らかにされており、予防医学的に非常に重要な指標といえる。断面観察や介入に基づく疫学的研究により、アルコール飲料の習慣的摂取と高尿酸血症との関連性も示されつつある。しかしながら、量-反応関係並びに、高尿酸血症発症に関する閾値等の詳細かつ予防医学的に重要な情報について、明らかにした報告は現状ではほとんどない。本調査では、8,000人の労働者を対象に、14年間の長期縦断追跡コホートにおいて、pooled logistic回帰、混合線形モデル並びにBenchmark Dose(ベンチマークドース)法を複合的に組み合わせ応用することにより、飲酒量と高尿酸血症罹患に関する量-反応、量-影響関係を明らかにし、飲酒量の閾値を許容値として算出することを目的とした。 本年度は、対象企業に勤務し、2002年から2005年に健康診断を受診した日本人男性労働者の健康診断データ約24,000件について入力し、データ整理を実施した。 対象者は2002年が5,969人、2003年が5,488人、2004年が5,910人、2005年が5,992人であり、交替勤務従事者は、2002年が36.4%、2003年が36.8%、2004年が39.8%、2005年が35.9%であった。高尿酸血症の有所見率は、2002年が8.9%、2003年が7.5%、2004年が9.3%、2005年が9.6%であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健康診断データの整理を実施し、約24,000件のデータを利用できるようにしており、研究はおおむね順調に進行していると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
我々の研究グループでは、これまで交替制勤務の健康影響について、継続して長期間のコホート研究を行っており、毎年のシフトや生活習慣の変動が補正可能なpooled logistic回帰により評価している。横断調査においてのBenchmark Dose法は、既に報告がなされているが、新たに縦断調査に応用し、各因子の年次変動の補正が可能なpooled logistic回帰と組み合わせることで、飲酒量と高尿酸血症罹患との量-反応関係を確立し、他の因子の影響が考慮された、因果関係の面でより疫学的価値の高いBenchmark Dose(ベンチマークドース)を算出することができる。混合線形モデルについては、体重、血圧、血液検査所見などの連続変量の高尿酸血症に関する指標について、他の因子の年次変動を組み込んだ、飲酒量との量-影響関係について調査することができる。また、高尿酸血症の既往、現病歴のあるものを除外しないため、追跡対象者を大幅に増加させることができ、除外によるバイアスを最小限にすることができる。さらに、Benchmark Dose(ベンチマークドース)については、連続変量として取り扱い、他の因子の影響を補正できるHybrid approachを用いる。Hybrid approach並びに、pooled logistic回帰分析とBenchmark Dose法を組み合わせた手法は、従来のBenchmark Dose法を大きく改良したものであるが、一般的にBenchmark Dose 算出に用いられているソフトウェア、Benchmark Dose Softwareでは算出できない独自のものである。
|
Causes of Carryover |
データの入力作業に関し、アルバイトの雇用が必要なくなり、人件費において未使用 額が生じた。物品についても、購入を先延ばしにしたため差異が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、データの解析に必要な物品の購入、調査研究のための旅費、統計解析に必要なソフトの更新などに使用予定である。
|