2015 Fiscal Year Research-status Report
電子カルテにおけるインフォームド・コンセント自動監査システムの構築
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26460869
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
竹村 匡正 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 准教授 (40362496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑田 成規 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, その他部局等, その他 (40379631) [Withdrawn]
岡本 和也 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60565018)
山田 ひとみ 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, その他部局等, その他 (70634913) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インフォームド・コンセント / 電子カルテ / 自動監査 / 機械学習 / 自然言語処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、実際に病院情報システム上で記載されたインフォームド・コンセント記載に対して、これまで診療情報管理士が行ってきたカルテ監査業務を、機械学習を用いて自動化するものである。本年度は、昨年のサポートベクターマシンを利用した自動判別精度について、5段階評価(レベル1~レベル5)のうち、問題ありとみなされるレベル1、レベル2とそれ以上に判別する性能が約9割であることを踏まえた上で、次の2つの検討を行った。ひとつは、インフォームド・コンセントとして書かれるべき内容について検討を行った。これは、教師データを構築するときに診療情報管理士が何を基準に判断をしているのか、ということが議論となり、外的な評価基準が必要である、という認識に基づくものである。よって、これには医療訴訟における説明義務違反に関する裁判での事実認定を調査し、どのような内容をインフォームド・コンセントとして記載すべきなのかについて検討を行うこととした。結果としては、診療録が電子的に保存される現在は、そもそもの診療記録が適切であり、その上で説明がなされていないとそもそも説明したことにならない、という裁判としての判断基準が明らかとなり、インフォームド・コンセントのあるべき姿を再考する必要があることが判明した。もうひとつは、カルテ全体からインフォームド・コンセントに関係すると思われるデータを抽出して判断する方法論の検討を行った。これは、ひとつは判例に見られるように診療記録全体から判断する必要があること、もうひとつはそもそも診療録において、どの記述がインフォームド・コンセント記載かを判断できない電子カルテシステムが多いことが判明したためである。よって、多施設でのデータ取得および実験のための準備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験は良好な結果が出たが、共同研究者の状況が変わり研究対象としていた国立循環器病研究センターの所属ではなくなったため、別施設(京都大学病院)でのデータ取得および予備実験を行った。また、本研究の要素技術を利用して、診療記録全体のプロセスを予測できる可能性があることから、過去データに基づく診療プロセスの自動予測への展開についても検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでに行ってきた方法論に一般性があるかを検証するために、複数の施設でのデータ取得および実験を行う。また、日常業務において本システムの利用可能性を検証するために、オンタイムおよび日々のバッチ処理による自動監査および診療情報管理士への通知システムの構築を行う。現在は大学医学部附属病院および公立病院での実験準備を進めている。具体的には、昨年度に調査を行った判例において医療側の責任となり得るインフォームド・コンセントの内容およびそれに関連する診療録記載の内容そのものを踏まえた上で、これまでと同様に診療情報管理士によるインフォームド・コンセント記載の質判定を行う。その上で出現単語および字数等を利用した教師あり機械学習を行う。一方で、公立病院ではそもそもインフォームド・コンセントがカルテ記載において他の診療録記載と区別されておらず、これが救急搬送時等にも問題となっているということである。よって、本研究のこれまでの成果を利用して診療録そのものからインフォームド・コンセント記載と思われる箇所を自動的に抽出するシステムを検討する。これは、昨年度まで検討してきたカルテの内容の自動抽出について、実データを用いて実験を行う。また、他の県立病院での実験を検討しており、こちらでもデータ抽出および実験を行う予定である。 その上で記載の質の自動判定を行い、診療情報管理士への通知が可能かどうかについて検証を行う。
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Causes of Carryover |
実験を予定していた京都大学病院では2016年3月に病棟移転、5月に病院情報システムのリプレイスが控えていたため、当該年度は最低限の実験リソース(計算機)を購入した。本年度はサーバーの実装を考えている。また、共同研究者の山田が所属した神戸市民病院は科学技術研究費の支弁対象機関ではなかったため、配分された研究費の返納があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、最終年度ということで京都大学病院および神戸市民病院での実装を考えている。また、他の県立病院からも実験参加の話し合いをしており、これらの施設での実験のための計算機リソースの購入、および学会・論文発表を行う予定である。また、診療プロセス全体の把握・予測についても同様に進める。
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Research Products
(4 results)