2014 Fiscal Year Research-status Report
死戦期に発現する遺伝子発現に基づくForensic pathogenesis
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26460876
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
西 克治 滋賀医科大学, 医学部, 客員教授 (60073681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古川 智之 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (60422888)
森田 沙斗武 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (80721894)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 法医病理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトの死を学問とする法医学では、ヒトの死戦期の細胞変化を具現化出来ことがその個性である。ヒトの死を惹起する心臓と脳の死戦期の細胞変化に興味を持ち研究を継続している。これまで、死戦期の生じる細胞内変化は、死体現象として認識されるより高度で且つ死後にも保存され、生体内変化と同様に非常に顕著且つ高度であることを示してきた。研究初年度は、心筋と小脳での変化を検討した。 心臓の検索では、慢性的虚血状態で死亡された老女の例を主として検討したところ、虚血に関わる諸抗原が発現されていた。このことは、これまでの検討結果と幾分相違していた。すなわち、これまでの凍死例や一酸化炭素中毒例での検討では、発現に順序が見られ、RBM3やCIRBPが早期から発現されていた。一方、虚血に関連して発現されるとこの分野で、世界的に、認識されているHIF1αやSIRT1の発現が見られない状態であった。虚血状態が慢性化するとこれまでいわれていたHIF1αやSIRT1も発現されるが、比較的短期間の虚血状態では、発現されない。今後の虚血変化の研究に変更を生じることを示唆する結果であった。急激な脳虚血を引き起こしていたと思われる頸部圧迫に起因する死亡例の各例に於いて、小脳プルキンエ細胞にRBM3やCIRBPの発現が見られたが、HIF1αやSIRT1ノ発現は、全くといっていいほどに見られなかった。これらの2系統の検討から、虚血研究には、従来のHIF!α関連抗原に加えて、RBM3などの検討も加える必要があるとの結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全心臓や全脳の虚血状態での細胞内変化を免疫組織化学的方法で具現化した。虚血状態の細胞内で発現される虚血関連蛋白(HIF1αやSIRT1関連抗原)とHIF1αと独立した状態で発現されるRBM3,CIRBPの発現を検討すると、虚血継続期間が長い個体では、両者とも顕著に発現が見られるが、短時間の例では、後者の発現が見られるのみであった。 今後の推進方法:大脳では、部位ごとに虚血に対する抵抗性が相違していることがいわれているが、脳死と植物状態などに見られるごとく、臨床的画像検査あるいは解剖学的経験則からの説明があるのみで有った。研究を継続して、大脳皮質部と脳幹部、小脳プルキンエ細胞などでの虚血関連抗原の全脳虚血時の発現状態 の相違点を検索し、死亡直前の急性虚血状態の存在の有無を明らかに出来る方法を開発したい。
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Strategy for Future Research Activity |
Hypoxiaでは、すなわち、気管支喘息、溺水、空気中低酸素状態(酸欠)等では、脳循環が保たれていることが、Ischemiaとは違うところである。IschemiaとHypoxiaでの脳所見の相違も検索しなければならない。 解剖検査で死戦期の状況が把握できれば、死亡までの時間などが推定されることとなり、加害者の行為力の推測に連なる。各種疾病、死因別、状態別に脳の変化、特に小脳の変化を捉え、死戦期の長さと小脳変化が相関するか否かを検討する。
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Research Products
(5 results)