2015 Fiscal Year Research-status Report
DNAのシリカ結合能とシリカ結合性蛋白を利用した珪藻検出法
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26460882
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
瀬尾 泰久 大分大学, 医学部, 助教 (80187830)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸田 哲子 大分大学, 医学部, 教授 (50136793)
内田 智久 大分大学, 医学部, 助教 (70381035)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 溺死 / 珪藻 / プランクトン / ストレプトアビジン / 酵素染色 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫組織学や酵素免疫測定法などに多用されるストレプトアビジンは、非特異的に担体に吸着能を有する。この非特異的吸着能は、特にガラス質に対して強く作用することが確かめられた。そこで、この性質を利用した珪藻の染色法を開発した。 純水に置換した珪藻被殻を含む溶液に、0.1mg/mlのBSA 1/100量を加え、カバーグラス上に滴下した後、200℃で30分加熱固定した。冷却後、10μg/mlのストレプトアビジンを固定した珪藻被殻上にマウントし、室温で15分間インキュベーションすることによってブロッキングした。水洗後、800倍希釈したHRP標識ストレプトアビジン(1mg/ml)を同様にマウントし、15~60分間インキュベーションした。水洗後、ニチレイ社のヒストファインを発色基質として、15分間染色した。水系封入剤CC/Mountで封入後、光学顕微鏡下で観察した。 100μl中数十個に調整した淡水性、海洋性の珪藻被殻を染色し、その回収率を調べたところ、いずれの場合でもほぼ100%近い回収率を示した。溺死が疑われた10例について本法を適用したところ、全例から染色された珪藻が検出され、溺死の診断が可能であった。 ところで本実験中に、ある地域の河川より採取された珪藻の中に、極めて珍しい携帯を持つものが観察された。専門家による形態的観察の結果、新種の可能性が高いことが指摘された。今後、この珪藻の形態学的、系統学的解析も同時に進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の仮説では、ストレプトアビジン本体に、ガラス質への非特異的吸着能があるものと推測されたが、詳細な分析の結果、ストレプトアビジン本体ではなく、ペルオキシダーゼ標識したストレプトアビジンにのみ、非特異的吸着能を有することが明らかとなった。この非特異的吸着は、ガラス質に対して最も強いことが確かめられた。また、この吸着能には市販メーカーの製品や希釈する溶媒によっても違いのあることが確かめられた。 さらに、ペルオキシダーゼ標識されたIgGにおいても、弱いなgがらもガラス質に対する吸着性が認められることから、ペルオキシダーゼを担体に標識する架橋法が、これらの非特異的吸着に影響しているものと推測された。
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Strategy for Future Research Activity |
ペルオキシダーゼ標識した市販のストレプトアビジンや抗体、アルカリフォスファターゼ標識ストレプトアビジンや抗体について、カラス質や他の材質への吸着能を比較し、ガラス質への吸着性、染色性に優れたものを選別し、簡便でコントラストの高い染色法を開発する予定である。 新種の可能性の高い珪藻に関しては、今後、専門の研究機関と協力して、分析を進めていく予定である。また、生息域の調査なども平行して行うつもりである。
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Causes of Carryover |
本年度は、ストレプトアビジンの非特異的吸着性に着目した研究を推進したため、少額の経費で研究を遂行することが可能であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、吸着特性の本質を追究し、珪藻染色法による溺死診断法を完成させる予定である。 また、新種の可能性のある珪藻について、形態学的、系統学的解析をおこなうため、専門家の助言を仰ぎ、新種登録を行いたいと考えている。
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Research Products
(1 results)