2014 Fiscal Year Research-status Report
汚染危惧食品に含まれる未知有害化学物質の検索と毒性の解明
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26460886
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
佐藤 啓造 昭和大学, 医学部, 教授 (20162422)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤城 雅也 昭和大学, 医学部, ポストドクター (00527161)
李 暁鵬(中内暁博) 昭和大学, 医学部, 講師 (90245829)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 容器包装 / 溶出実験 / GC/MS / LC-ESI/MS |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は容器包装からの溶出試験を行った。溶出条件として95℃水30分浸漬による溶出と25℃ヘプタン60分浸漬による溶出の2条件を検討し、それぞれ水溶性化合物、脂溶性化合物の溶出を試みた。容器包装の具体例としてカップ麺用の容器(ポリスチレン、耐熱温度80℃、日本製)、合成漆器(ABS樹脂、ウレタン塗装、耐熱温度80℃、日本製)、カラー碗(ポリプロピレン、耐熱温度140℃、日本製)、ブルーカップ(ポリプロピレン、耐熱温度120℃、日本製)、クリアーカップ(ポリスチレン、耐熱温度70℃、日本製)、割り箸(アスペン材、中国製)、レジャースプーン中(ポリスチレン、耐熱温度80℃、製造国不明)、箸(あすなろ材、アクリル塗装、日本製)、カラー箸(天然竹、ウレタン塗装、日本製)、カラーレジャースプーン(ポリスチレン、耐熱温度80℃、製造国不明)、レジャースプーン小(ポリスチレン、耐熱温度80℃、製造国不明)、金属スプーン(ステンレススチール、製造国不明)、図形パズル(ポリプロピレン、ポリスチレン、中国製)、ゴム風船(天然ゴム、中国製)、ままごとプラ野菜(ポリプロピレン、中国製)の15種類を用いた。 95℃水30分浸漬のGC/MS分析では合成漆器からベンゼンジカルボキシリックアシッドジプロピルエステルが検出された。95℃水30分浸漬のLC-ESI/MS分析ではブルーカップ、カラー箸、ゴム風船から未知の化合物が検出された。ゴム風船からは分子量差78の化合物が周期的に検出された。その他、95℃水30分浸漬では顕著なピークは検出されなかった。25℃ヘプタン60分浸漬ではブルーカップからジエチレングリコールジベンゾエートもしくはトリエチレングリコールジベンゾエートがGC/MS分析で検出された。器具・容器包装における規制の強化により当初予想していたほど溶出物は検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
器具・容器包装における規制の強化や医薬品の安全性試験の実施に関する基準(good laboratory practice:GLP)に対応した規格試験法の改正により、輸入時の不適合事例が多数排除され、以前問題視された容器包装からの毒性化合物の溶出は予想していたより、ずっと少なかった。そのため溶出条件を種々に変更させ、一般に用いられる保存(溶出)条件のうち最も多量に不純物が溶出されてくる条件を設定するのに時間を要してしまった。また、分析に用いたLC-ESI/MSが非常に高感度であるため不安定であり、途中で経年劣化による故障を起こし、修理したりしていたため、予定していた長期保存(溶出)実験ができなかった。来年度と再来年度で長期保存(溶出)実験を実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度の溶出実験で検出された未知の化合物の構造解析をまず行う。次に、初年度検出された各化合物の毒性の検討を行う。同時に初年度と同じ条件で対象をより幅広く取り上げ、溶出実験を行う。 さらに、今年度実施した溶出条件より厳しい条件で容器・包装からの溶出の有無を検討する。具体的には油を用いて200℃で浸漬したり、4%酢酸で浸漬したりする。溶出(保存)期間をより長期にした溶出実験も行う。具体的には食品の冷蔵庫保存で良く用いられる4℃、1か月保存と冷凍庫保存で良く用いられる-20℃、6か月保存をさまざまな容器と溶媒を用いて検討する。 これまでに食品中に劇毒物が検出されて問題になった物に中国製ギョーザや鰻のかば焼き、チリ産サーモンなどがある。ギョーザ、鰻、サーモンを始めとする種々の食品で中国産、チリ産、ノルウェー産、日本産のものから、どのような劇毒物が検出されるか比較検討する。日本産の物と比較することにより中国産、チリ産のものに混在する化合物が明らかとなり、その構造解析を行うことで混在物が特定される。 溶出実験で溶出してきた化合物のGC/MSもしくはLC/MSによる定量法を確立する。さらに、その化合物のLD50、突然変異原性についても検討する予定である。
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Causes of Carryover |
分析機器LC-ESI/MSの故障による分析実験の進捗が遅れたことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
容器・包装の種類を増加することと汚染危惧食品を中国産、韓国産、北朝鮮産、チリ産のものとノルウェー産、日本産のものとを比較検討することにより消費する予定である。
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Research Products
(13 results)
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[Journal Article] 身体活動中心臓突然死防止に向けての法医学的検討 ―身体活動中突然死剖検例と安静時突然死剖検例との比較をもとに―.2014
Author(s)
廣渡 崇郎, 佐藤 啓造, 入戸野 晋, 藤城 雅也, 水野 駿, 金 成彌, 正村 謙二, 上西 将路, 安川 泰樹, 加藤 晶人, 李 暁鵬.
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Journal Title
昭和学士会誌
Volume: 74(4)
Pages: 428-453
Peer Reviewed
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[Journal Article] 在宅高齢者の睡眠支援に向けての研究 ―高齢者の主観的睡眠感とコーピング手法との関連をもとに―.2014
Author(s)
石津 みゑ子, 佐藤 啓造, 米澤 弘恵, 藤城 雅也, 入戸野 晋, 根本 紀子, 大宮 信哉, 金 成彌, 宇治明日香, 西田 幸典, 岩田 浩子.
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Journal Title
昭和学士会誌
Volume: 74(3)
Pages: 340-353
Peer Reviewed
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[Journal Article] 医療過誤・医療訴訟の防止に向けての法医学的検討 ―判例と医療関連死解剖例の分析をもとに―.2014
Author(s)
岡部 万喜, 佐藤 啓造, 藤城 雅也, 入戸野 晋, 加藤 礼, 石津 みゑ子, 小渕 律子, 福地 麗, 大宮 信哉, 李 暁鵬, 九島 巳樹.
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Journal Title
昭和学士会誌
Volume: 74(2)
Pages: 190-210
Peer Reviewed
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