2015 Fiscal Year Research-status Report
HBV複製におけるエピジェネティクス制御機構の解明と新規抗ウイルス療法の開発
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26460985
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 康雄 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40422290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 敬介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20396948)
建石 良介 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (50444089)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | HBV / エピジェネティクス / cccDNA / ヒストンアセチル化 / 再活性化 |
Outline of Annual Research Achievements |
B型肝炎ウイルス(HBV)は一度感染すると薬物療法による完全な駆除はほぼ不可能であることが知られており、HBV 駆除を目指した新規抗ウイルス療法の開発は焦眉の急である。HBV の複製の鋳型covalently closed circular DNA(cccDNA)が”minichromosome”と呼ばれる宿主のヒストンタンパクによりクロマチン様構造を呈した状態で核内に存在し、ウイルス複製に重要なcccDNAからのpregenomic RNA (pgRNA)の転写がヒストンのアセチル化やメチル化などのエピジェネティックな制御を受けていることが知られている。一方で免疫抑制剤の一つであるグルココルチコイド投与によるHBV増殖にも、cccDNAヒストンのエピジェネティックな修飾が関与している可能性がある。本研究ではHBV 複製におけるエピジェネティクス制御機構の解析とグルココルチコイドのHBV 複製への影響、さらにはヒストン修飾の検討を行う。 前年度の検討で、HBV DNAを導入したヒト肝癌細胞株HepG2.2.15をヒストン脱アセチル化酵素阻害剤であるTrichostatin-A(TSA)で刺激し、pgRNAの転写を検討したところ、HBV pgRNAの転写は亢進した。さらに、cccDNAのヒストンの修飾状態をchromatin immunoprecipitation (ChIP) assayで解析したところ、cccDNA ヒストンH3/H4のアセチル化は亢進していた。同様の検討をグルココルチコイドの一つであるデキサメタゾン投与下で行ったところ、TSA刺激と同様にHBVの転写上昇とcccDNAヒストンH3/H4のアセチル化が認められ、エピジェネティックな機序が関与している可能性が考えられた。 今後はその詳細な機序を解析し、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤などのHBV複製に対する影響を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グルココルチコイドにより誘導されるHBV複製過程においても、ヒストンアセチル化などのエピジェネティクスが関与していることが明らかとなったため、今後はそのアセチル化を誘導する酵素など、その機序の詳細を検討していく。さらに今後はヒストン脱アセチル化酵素阻害剤などのHBV複製に対する影響も検討する。 以上のように本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究に必要な細胞株や試薬などは既に準備できており、今後は迅速にさらなる解析を進める。
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Causes of Carryover |
予想よりも少ない物品費で今年度の課題が達成できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の試薬購入などに使用する。
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Research Products
(1 results)