2014 Fiscal Year Research-status Report
肺MAC症の重症化・致死化と鉄代謝異常との関連~新規治療法の開発に向けて
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26461157
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
茂呂 寛 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (40509452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 俊範 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (40361919)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺MAC症 / 鉄代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
当施設に通院中の肺MAC症例を対象に血清献体の保存を進め、炎症反応の指標(WBC、CRP、ESR、SAA)、鉄代謝の指標(Fe、UIBC、TIBC、フェリチン、ヘプシジン)を、それぞれ検査した。さらに、同一検体について、マルチプレックス・サスペンションアレイ法による、サイトカインの網羅的解析を行った。 調査の対象は、成人の肺MAC症15例で男性2例、女性13例、年齢の中央値は69歳であった。これらの症例を、病型により線維空洞型 7例と、結節・気管支拡張型8例の二群に分類し、上記の項目について、二群間の比較を行った。 その結果、鉄代謝マーカーについては、血清鉄(線維空洞型51.5±34.1 vs 結節・気管支拡張型96.8±30.8, p=0.02)、UIBC(189.8±37.2 vs 123.1±51.9, p<0.01)が線維空洞型では有意に低値であったが、ヘプシジン値については、二群間で有意差は見られなかった。 一方、各種サイトカインについて、二群間で有意差が認められた項目はIL-5(5.2±5.6 vs 結節・気管支拡張型 1.1±1.3, p=0.02)、IP-10(1110.8±643.5 vs 509.3±219.6, p<0.01)、VEGF(607.2±232.6 vs 340.1±199.8, p=0.02)、G-CSF(70.7±49.3 vs 19.0±11.0, p<0.01)の4項目であった。 ただし、これらの結果については、線維空洞型ではCRP値が有意に高く、遷延する慢性炎症に伴う変化である可能性も否定できず、次年度以降の課題と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ここまでの研究で陽性所見が得られ、研究の方向性が定まったため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年の調査で判明した、空洞結節型で有意に高値であったサイトカインについて、約20-30例を目標に検体数をさらに増やし、ELISA法を用い再現性を確認する。これらのサイトカインの中でも、特にIP-10(CXCL10)については、肺結核の病勢との関連性が報告されており(PLoS One. 2008;3(12):e3901)、肺MAC症の病勢あるいは病型との関連が期待される。 その他、① 同一症例内で、病勢の異なる測定ポイントにおける鉄代謝マーカー、サイトカインの推移、② 抗MAC抗体との相関に関する検討、③ ネガティブ・コントロールとして、気管支拡張症など、抗酸菌以外の慢性気道感染症における各種検査項目の比較、④ 病態・病型ごとの、抗原刺激に対する末梢血リンパ球数の反応性、 ...などの項目についても、随時検討を進める。
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Causes of Carryover |
今年度は、パイロット・スタディとして、研究対象とした検体数が限られていたため、結果として試薬の消費が限定的であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
検査の対象とするサイトカインが絞れたため、より多くの検体を収集し、試薬の消費も前年より多くなるものと予想される。
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