2015 Fiscal Year Research-status Report
肺MAC症の重症化・致死化と鉄代謝異常との関連~新規治療法の開発に向けて
Project/Area Number |
26461157
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
茂呂 寛 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (40509452)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 俊範 新潟大学, 医歯学総合病院, 教授 (40361919)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺MAC症 / 鉄代謝 / IP-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
新潟大学医歯学総合病院(新潟市 825床)で、平成26年度に肺MAC症と診断され、本人の同意が得られた25例を対象に、その臨床背景、鉄代謝、栄養状態の評価を行うとともに、血清・血漿検体を用い、網羅的なサイトカインの測定、解析を実施した。解析にあたり、症例を肺MAC症の病型により、線維空洞型(8例)と結節気管支拡張型(17例)の2群に分け、比較した。その結果、線維空洞型では炎症マーカーであるCRP値、SAA値が有意に高く、また血清鉄、栄養状態の指標(アルブミン、プレアルブミン濃度)が有意差は無いものの、線維空洞型で低値の傾向が見られた。 サイトカイン38種類を対象に濃度を測定した結果、EGF (p=0.047)、G-CSF p=0.023)、GRO (p=0.041)、IP-10 (p=0.028)、TGF-α (p=0.041)で、二つの病型の間に有意差が認められた。これらの項目を対象に多変量解析を行った結果、IP-10 (p=0.047)が主な要因と考えられた。 IP-10と他の因子とにおける相関関係を調査したところ、IP-10はIL-1RA、CRPと有意な正の相関(r = 0.77, 0.81)関係を持ち、また血清鉄、プレアルブミンと負の相関(r = -0.54, -0.38)を持っていた。肺結核において、IP-10が病勢を反映するとの報告があるが、今回の結果より、肺MAC症においてもIP-10が慢性炎症を背景に、血清鉄の低下や栄養状態の悪化と何らかの形で関与していることが推定され、病態の理解や管理において、重要な役割を果たす可能性が期待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていた症例数に到達し、国際学会での発表に足るだけのデータも揃っているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要で示した内容に基づいて、論文の作成を進めるとともに、査読者の指摘に応じて、適宜調査項目を追加する。その他、同一症例内でのサイトカインの変化や、抗MAC抗体との相関等についても、検討を加える予定である。
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Causes of Carryover |
研究の趣旨に合致した症例が限られており、結果的に、検体の測定依頼、試薬の消費が限定的であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文作成を念頭に、論文投稿にかかる費用、追加研究などに充てる予定である。
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Research Products
(1 results)