2015 Fiscal Year Research-status Report
胃食道逆流症による咳嗽機序:食道粘膜のTRPV1発現と神経原性炎症の関与
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26461165
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
竹村 昌也 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30378707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新實 彰男 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30252513)
久保田 英嗣 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30405188)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 慢性咳嗽 / 胃食道逆流症 / TRPV1 / 神経原性炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
咳の機序には不明な点が多い。原因や病態とは無関係な非特異的鎮咳を目的とする中枢性鎮咳剤は副作用も多く、また慢性咳嗽患者において無効のことが多い。従って咳嗽のメカニズムを解明し、末梢性にピンポイントに作用するような治療薬を開発することは極めて重要である。本研究は近年増加している胃食道逆流症(GERD)による慢性咳嗽患者の食道粘膜組織における侵害受容器TRPV1の関与、神経原性炎症の存在を調べる。
本研究は学内の倫理委員会の承認を受け、現在症例集積中である。現在までに対象群21例(目標30例)、対照群3例(目標20例)がエントリーされている。コントロールが3名のため対象群との比較はできないが、対象群において、GERD治療(PPI+消化管運動改善薬)後、咳のvisual analogue score (VAS)(49.2mm→29.1mm, p=0.0013), レスター咳問診票(4.4→11.2, p=0.0019)と有意な改善を認め、 GERD問診票であるFスケール総スコア(15.4→11.2, p=0.056),酸逆流スコア(8.36→5.14, p=0.019)もそれぞれ、改善傾向、有意な改善を示した。神経原性炎症の指標であるサブスタンスP(SP)やCGRPについては、喀痰SP濃度は治療前咳VASと正の相関傾向 (r=0.39, p=0.09)を認め、血液中のCGRP濃度は治療前レスター総スコア(r=-0.48, p=0.049)、症状スコア(r=-0.54, p=0.04)と有意な負の相関を認めた。しかしながら治療前後で喀痰SP濃度、喀痰CGRP濃度、血液SP濃度、喀痰CGRP濃度に有意な変化は認めなかった。今後、食道粘膜生検組織のTRPV1の免疫染色像やmRNAの定量結果との関連を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
咳を有するGERD患者は呼吸器および消化器内科外来に受診するため消化器内科医の協力が必要である。現在、双方の連携が円滑に図られており、対象者のエントリーは順調に増えている。
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Strategy for Future Research Activity |
食道粘膜組織におけるTRPV1の発現をタンパク質および遺伝子レベルで評価する。食道粘膜の免疫染色においてSPおよびCGRPの発現を共焦点顕微鏡を用いて評価する。これら基礎データと患者背景や血液および喀痰のSP、 CGRP濃度、GERDスコア、レスター咳問診票、GERD治療効果との関連について検討を進めていく。対象群のエントリーについてはおおむね順調であるが、コントロール群が少ないため今後の集積努力を要する。消化器内科医の協力を仰ぎ対象者およびコントロール患者を増やしていく。
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Causes of Carryover |
対象者の集積にやや時間がかかっており、サブスタンスPやCGRPの濃度測定にとどまっており、免疫染色やPCRに必要な、抗体、試薬の購入が遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
対象者は目標の半数に達したため、免疫染色やPCRに必要な抗体や試薬を購入し、平成28度初めに中間解析を行う。
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