2016 Fiscal Year Research-status Report
胃食道逆流症による咳嗽機序:食道粘膜のTRPV1発現と神経原性炎症の関与
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26461165
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
竹村 昌也 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 助教 (30378707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新實 彰男 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30252513)
久保田 英嗣 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (30405188)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 胃食道逆流症 / 慢性咳嗽 / 神経原性炎症 / サブスタンスP / TRPV1 |
Outline of Annual Research Achievements |
GERDによる咳嗽機序の一つに, 逆流により下部食道の迷走神経が刺激され, 迷走神経反射を介した気道の咳受容体感受性亢進が想定されている. 咳感受性亢進に伴いサブスタンスP(SP)などの神経ペプチドの関与が考えられるが不明な点が多い.組織学的検討はまだ未検討だが、GERDによる咳嗽とSPの関与を検討した.8週間以上持続する咳嗽があり,胸部X線写真で異常がなく,問診上GERDを疑わせる患者27名(52.9歳,男11名)を対象に、ラベプラゾール20mgとイトプリド150mgを4週間投与した.GERD治療前後で咳visual analog scale(VAS), FSSG(GERD問診票), 誘発喀痰, 肺機能, カプサイシン咳感受性検査を施行した. 咳VAS改善率が50%以上をResponder群(n=16), それ未満をNon-responder群(n=11)に分類した.
GERD治療後, 咳VAS(p<0.0001), FSSG(p<0.0003)の有意な改善を認めた. Responder群において咳VASの改善率は酸逆流スコアの改善度と有意な正の相関(r=0.45, p=0.03)を認め, 咳感受性は有意に改善した(p-0.04). Responder群はNon-responder群に比べ治療前の咳感受性が有意に亢進し(p=0.03), 喀痰SP濃度が高い傾向にあった.
GERDによる咳嗽機序に咳感受性の亢進とSPが関与している可能性が示唆される.今後は食道粘膜組織のタキキニン(SPやCGRP)陽性神経線維やTRPV1の発現を検討し臨床症状との関連について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力者が平成28年度に変更になったため、新たな協力者との引き継ぎに時間を要したこと、および、対象者の登録は順調にすすんでいるが、コントロール患者(GERDあり咳なし)が大学病院の特性上、未治療のGERD患者が少なく、エントリーが困難な状況であった。そこで、関連施設の医師に研究協力を依頼し、コントロール患者数を増やす見通しがついた。研究実施場所(検体採取場所)での検体処理や搬送の調整などの時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
食道粘膜組織におけるTRPV1の発現をタンパク質および遺伝子レベルで評価する。食道粘膜の免疫染色においてSPおよびCGRPの発現を共焦点顕微鏡を用いて評価する。これら基礎データと患者背景や血液および喀痰のタキキニン(SP, CGRP)濃度、GERDスコア、咳症状および咳感受性、食道内視鏡所見、GERD治療効果との関連について検討を進めていく。対象者のエントリーについては順調であるが、コントロール群が少ないため今後の集積努力を要する。関連施設でもエントリーを開始したためコントロール患者も増えつつある。消化器内科医の協力も仰ぎ対照者を増やしていく。
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Causes of Carryover |
コントロール患者(GERDあり咳なし)が大学病院の特性上のためか、未治療のGERD患者が少なく、エントリー数が少なくコントロール患者分の予算が残る状況となった。そのため研究計画の1年延長申請を行った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関連施設の医師に研究協力を依頼し、コントロール患者の確保の目処がついたため今後はコントロール患者の検体測定に予算を費やす予定である。
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